タキヒヨー株式会社に対する勧告について
2011/01/14 コンプライアンス, 下請法, 商社

事実
タキヒヨー株式会社(以下「タキヒヨー」という。)は,婦人服,服地等の製造(加工を含む)を下請事業者に委託しているところ,自社の利益を確保するため,下請事業者に対し,「歩引」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請した。この要請に応じた下請事業者に対し,タキヒヨーは,平成20年5月から平成21年8月までの間,下請事業者に責任がないのに,当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた(減額した金額は,下請事業者131名に対し,総額8395万6812円である)。
なお,タキヒヨーは,平成21年10月27日付けの取締役会の書面決議により,前記の減額行為が下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という)の規定に違反するものであること及び今後,下請事業者に責任がないのに下請代金の額を減じないことを確認するとともに,同月29日,当該下請事業者に対し,減額した金額を返還している。また,同月30日,自社の役員及び従業員に対し,前記書面決議により確認した内容及び下請代金の額から減じていた額を当該下請事業者に支払った旨を周知徹底している。
公正取引委員会の勧告
以上の事実に関し、公正取引委員会は中小企業庁長官から下請法第6条の規定に基づく措置請求を受けた。
そこで、公正取引委員会は,タキヒヨーに対し調査を行ってきたところ,下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する事実が認められたので,平成23年1月11日,下請法第7条第2項の規定に基づき,同社に対して勧告を行った。
(親事業者の遵守事項)
第4条 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
三 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減ずること。
(中小企業庁長官の請求)
第6条 中小企業庁長官は,親事業者が第4条第1項第1号,第2号若しくは第7号に掲げる行為をしているかどうか若しくは同項第3号から第6号までに掲げる行為をしたかどうか又は親事業者について同条第2項各号の一に該当する事実があるかどうかを調査し,その事実があると認めるときは,公正取引委員会に対し,この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。
(勧告)
第7条 2 公正取引委員会は,親事業者が第4条第1項第3号から第6号までに掲げる行為をしたと認めるときは,その親事業者に対し,速やかにその減じた額を支払い,その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り,その下請代金の額を引き上げ,又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。
勧告の内容
公正取引委員会が行った勧告の内容は以下の通りである。
ア タキヒヨーは,今後,下請事業者に責任がないのに下請代金の額を減じることがないよう,自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに,その内容を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
イ タキヒヨーは,次の事項を取引先下請事業者に周知すること。
(ア) 前記の減額行為が下請法の規定に違反するものであること及び今後,下請事業者に責任がないのに下請代金の額を減じないことを取締役会の書面決議により確認した旨
(イ) 下請代金の額から減じていた額を下請事業者に支払った旨
(ウ) 前記(ア)及び(イ)の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底した旨
(エ) 前記アに基づいて採った措置
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