雇用調整助成金 不正申請・受給
2021/10/25   行政対応, 民法・商法, その他

はじめに

 新型コロナウイルスの影響を受けた企業等は雇用を維持するために「雇用調整助成金」を利用できます。かかる助成金の不正な申請や受給が全国で横行しており、全国で292件、23億円余りに上ることを厚生労働省が発表しました。

 

事案の概要

 厚生労働省によると、これまでに482万件、約4兆6540億円の支給が決まっている一方で、不正申請・受給も相次いでおり、不正な申請・受給は9月末までに全国で292件、23億円余りに上ります。不正受給の例として、実際に働いている従業員を休ませたように装い、授受した助成金を会社の資金に回すケースなどがありました。また、SNS上で不正を指南する書き込みも複数見られ、実態のない会社を用いて申請する手口も確認されているようです。

 

雇用調整助成金とは

 現在、事業主のために様々な雇用関係の助成金制度があります。雇用調整助成金は、そのうちの1つと位置づけられます。雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。①新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小していること②最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していること(比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります)③労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っていること、以上3つの条件が提示されています。助成対象となる労働者については、事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、「雇用調整助成金」の助成対象です。学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。

 

コメント

 助成金により、自社の資金の不足を補うだけでなく労働者の雇用が維持されているという面もあり、助成金の社会的意義は大きいかと思われます。社会的意義の大きさも相まって、不正な申請・受給は、本来お金が行き届くべきところに行き届かなくなるおそれがあり、非常に罪深いといえます。企業法務従事者としては、故意に不正受給する場合は論外として、過失により不正受給することのないよう、手続は慎重に行うようにしましょう。

 

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