忘年会シーズンに気をつけたい犯罪をケースで学ぼう!!
2010/12/17   コンプライアンス, 刑事法, その他

 

まずは、ありがちですが、自分たちが当事者とならないまでもよく道やお店でで酔っ払い同士の喧嘩を目にすることがあるかと思います。酔っ払い同士が喧嘩をして、相手をケガさせてしまったら犯罪でしょうか。
 答えは犯罪です。傷害罪となります。今、話題の歌舞伎界の方の事件もありますから、イメージしやすいでしょうか。警察に逮捕されてしまうこともありますから、注意が必要です。逮捕された場合、下手をするとその後勾留という手続きに入り、約3週間、身柄を拘束される可能性もあります。
 もし、会社を3週間も休んでいたら、いずれ会社に警察に捕まっていることが知られてしまうでしょう。とそういった場合、就業規則の規定によっては、解雇の可能性もあります。
 もし万が一あなたが、事件の加害者になってしまい逮捕されたら、すぐに弁護士(当番弁護士といいます)を呼び、弁護士と相談して被害者との示談交渉を進めるようにしてください。弁護士の方が示談を進め勾留を回避するなどの方法をとってあなたにとって一番良い結果に導いてくれるはずです。
 ただ、一番いいのは、事件の当事者にならないことですが。

 

次に一緒にお酒を飲んでいると、仲間同士お互いに酔っ払ってしまうことがよくあると思います。そういう時、不思議とふらふらになっている人を見ると、本当は自分も酔っ払っているのに、自分は酔っていないなんて思ってしまうことがありませんか。そして、自分が何とかしなくてはと、その人を介抱したりした経験はありませんか。
 ただ、酔っ払いが酔っ払いを介抱しているわけですから、介抱している時に相手と一緒に自分もひっくり返ってしまうこともあるかもしれません。
 そんな時、介抱していたあなたは罪に問われるのでしょうか。
 警察に捕まるかどうかは別にして、この場合も法律上は、犯罪にあたり、過失傷害罪になります。もし、警察にいくことになったら、罰金等を払う羽目になるかもしれませんので注意が必要です。なので、こういった場合は、酔っ払っていない店の従業員などの第三者にお願いするのがベストということですね。

お酒を飲んでくると、からんでしまう人いませんか。しかも、「忘年会だから」ということで、いつもよりそのボルテージがあがって、「今日は潰れるまで飲め」とか「これを一気するまで帰らせない」なんてこと言ったりしていませんか。何か悪いことしてるっぽいですけど、これって何か罪になるんでしょうか。
 この場合、強要罪にあたります。脅迫して義務のないことを行わせているわけです。ちなみに、結果、相手が酔いつぶれたれ、もともと潰れさせる意図だったかどうかで、過失傷害・傷害罪の成立も考えられます。そして、忘年会シーズンになると、よく救急車が行きかっているかと思いますが、急性アルコール中毒でなくってしまったら、傷害致死なんてことになってしまいます。

これは、昨年12月6日、実際にあった事件で、埼玉県警草加署が、同日、公務執行妨害の現行犯で、八潮市柳之宮の会社員、小林秀喜(34)と草加市小山町の会社員、石黒敏之(27)の両容疑者を逮捕しました。
 埼玉県草加市高砂の市道で、男性巡査(24)の下腹部をけるなどし、小林容疑者が現行犯逮捕されるのを見た石黒容疑者は、「何もしてねえだろ」と怒鳴りながら、止めに入った男性警部補(36)の顔を素手で殴るなどしたそうです。
 この2人、実は、会社の忘年会ではしご酒をしていました。
 酔っ払ってしまうと、どうしても気が大きくなってしまうことがあると思います。ただ、警官の方には絶対に逆らわないようにして欲しいと思います。
 公務執行妨害罪は、傷害と違って、罰金刑がないので、必ず起訴(刑事裁判にかけられること)されてしまいます。こうなると、長期間の身柄拘束は避けられない状態になってきます。皆さん、十分に注意してください。

 

次は、これくらいで犯罪になるの?というものをあげたいと思います。忘年会シーズン、駅や電車のような公共の乗り物や、飲食店やゲームセンターのように人が多く集まる施設で、暴言を吐いたり、粗野な態度を取ったりして、他の方に迷惑をかけている人、見かけることありませんか。
 これもしっかり罪になり、軽犯罪法第1条5号違反です。一般に『粗野・乱暴の罪』と呼ばれています。
 この第1条5号で逮捕されると、拘留または1000円以上1万円未満の科料に科せられるケースもあります。場合によっては、前科となりますし、社会的なダメージは少なからず受けてしまうことになりますので、軽犯罪法だからといって油断してはいけません。
 ちなみに08年に京都府職員が酒に酔った状態で列車に乗り込み、乗り合わせた女子中学生に「ブス」「アホ」などの暴言を浴びせた結果、福知山署に逮捕されたという事件があります。

最近あった事件の中から一つとりあげたいと思います。
 バスの中で陰茎を露出したとして、宮城県警泉署が今月11日に、公然わいせつ容疑で仙台市消防局青葉消防署の警防第1係長(50)を現行犯逮捕しました。当時、署の忘年会から帰宅途中で、女性客の前で、下半身の「社会の窓」から自身の“ホース”をポロリ。本人は、「触ってはいたが、見せてはいない」などと供述しているそうですが、署の要職にあり、容疑者は、優秀で真面目と評される係長だそうで、逮捕されただけで、社会的信用を含め彼が失ったものは少なくないはずです。

次は、保護責任者遺棄罪について見ていきたいと思います。
 忘年会で飲んでいて酔いつぶれた仲間がいます。めんどくさくなってほっておいて他の皆は、帰ってしまいました。こんな時、その仲間は、法律上、保護責任者遺棄罪にあたります。
 もっとも、たいていは、次の日起きたらゴミ置き場で寝てたなんて笑い話ですむと思います。ただ、問題は、その酔いつぶれた方が、車に轢かれて重症だなどというケースです。
 こういった場合、仲間に保護責任者遺棄致死傷が成立し、実際に責任を問われることがでてくることがあるかもしれませんのでご注意を。

  

最後に当たり前ですが、飲酒運転には気をつけてください。02年に道路交通法が改正され、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mミリグラム以上で、酒気帯び運転として検挙されるようになりました。
 この0.15ミリグラムというのは、個人差があるとしても、人によってはビール一杯で検出されることもあります。飲んだら運転しない、ということです。

傷害罪(刑法204条)人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万年以下の罰金に処する。
過失傷害罪(刑法209条1項)過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
強要罪(刑法223条1項)生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
傷害致死罪(刑法205条)人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪(刑法95条)公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
軽犯罪法1条5号公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
公然わいせつ罪(刑法174条)公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
保護責任者遺棄罪(刑法218条)老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

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