医薬品ネット販売規制違憲訴訟 議論の行方は…
2010/12/06 薬事法務, 薬機法, IT

一般用医薬品のネット販売を規制する改正薬事法省令の無効確認・取消等を求めて、ケンコーコムとウェルネットが起こした行政訴訟。その控訴審第2回口頭弁論が12月2日に東京高等裁判所で開かれた。
同期日で控訴審の都築裁判長は「ネット販売」対「対面販売」という構図での正当性の是非ではなく、省令の施行前後で薬害や医薬品販売時の情報伝達がどう変わっているのかを比較すべきと指摘した。
一審判決では規制の合理性を基礎付ける理由として、健康被害の防止の実効性という点が挙げられいる。
これは、健康被害の防止の実効性という点で「対面」であることに有意性が認められ、「ネット」における情報提供では規制目的(健康被害の防止)に適った効果を得ることができないことを主な論拠としている。
この都築裁判長の指摘により、規制以前に許された「ネット販売」を規制することの効果が規制目的との関係で直接的に問われることになり、そもそも薬害を防止するために「ネット販売」を規制する必要があるのか、その規制に合理性が認められるのかという点に議論の焦点が移っていくと考えられる。
請求の趣旨
1 医薬品の店舗販売業の許可を受けた者とみなされる既存一般販売業者として,平成21年厚生労働省令第10号による改正後の薬事法施行規則の規定にかかわらず,第一類医薬品及び第二類医薬品につき店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売をすることができる権利(地位)を有することの確認
2 厚生労働大臣が平成21年2月6日に公布した薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第10号)のうち,薬事法施行規則に15条の4第1項1号,159条の14,159条の15第1項1号,159条の16第1号並びに159条の17第1号及び第2号の各規定を加える改正規定が無効であることの確認
3 前項の省令の改正規定の取消(予備的請求)
主文
1 本件無効確認訴え及び本件取消の訴えをいずれも却下する。
2 本件地位確認の訴えにかかる請求はいずれも棄却する。
要旨
1 改正省令中の本件改正規定抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
2 本件各規定は法律の授権の委任に基づく法律の委任の範囲内(裁量権の範囲内)であり、無効ではない。
3 薬事法違憲判決(昭和50年4月30日)を引用し、本件規制が,規制目的(一般用医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保し,一般用医薬品の副作用による健康被害を防止すること)を達成するための規制手段としての必要性と合理性を認めることができ,医薬品の副作用(副作用に関する消費者一般の意識・認識等を含む。)及び情報通信技術等をめぐる本邦の現状の下において,営業活動の態様に対するより緩やかな制限を内容とする規制手段によっては上記の規制目的を十分に達成することができないと認められる以上,立法機関(立法府の制定した法律により行政立法の権能の委任を受けた行政機関を含む。)の合理的裁量の範囲について,職業活動の内容及び態様に関する規制として,あるいは狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課する規制に準じて,広狭のいずれに解するかにかかわらず,その合理的裁量の範囲を超えるものではないというべきであり,本件規制及びこれを定める本件各規定を薬事法施行規則に加える改正省令中の本件改正規定は,憲法22条1項に違反するものということはできない。
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