みずほ元行員 解雇無効を争い提訴
2021/09/28   労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
 みずほ銀行の元行員である男性(52歳)が9月9日に懲戒解雇されたのは違法だとして、解雇の無効や未払賃金、慰謝料など約4300万円を求めて東京地裁に提訴しました。
事案の概要
 男性は30代後半でみずほ銀行に中途入社した後、上司に対する顧客の苦情を本人に伝えたのをきっかけに約5年間の自宅待機を命じられ、同社から退職を求められるようになり、最後には懲戒解雇されたとのことです。男性は長期の自宅待機はパワーハラスメントに当たると主張しているようです。
パワーハラスメントとは
 パワーハラスメントとは、職場で働く人に対して、役職や人間関係などで優位性がある人が、業務上、明らかに必要のない言動などで精神的・身体的苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為をいいます。具体的には、殴る蹴るなどの身体的な攻撃や人格を否定する言動や必要以上に長時間にわたり厳しく叱責を繰り返すなどの精神的な攻撃等が挙げられます。これらの行為がパワーハラスメントに該当することは世間にも認知されているとは思います。他にもパワハラに当たる例としては、嫌がらせを目的として仕事を与えない過少要求が挙げられます。本件の男性に命じた5年間の自宅待機はこの過少要求に該当し、不法行為に基づく損害賠償請求が認容される可能性があります。
過少要求が不法行為に該当するとした判例
 平成25年4月25日の大阪高裁判決によると、二か月間、会社から退職を勧められ、拒否し続けた原告は営業部の管理職から倉庫内の業務に降格となりました。同会社において大卒の人間が倉庫業務に従事することはありませんでしたが、原告は大卒であるにもかかわらず倉庫業務に降格され、給料も半分になり訴訟を起こしました。そして、原告は勝訴し降格は無効となり慰謝料の支払いが命じられました。同判決文によると、これまで大学を卒業した人が配属されたことがない倉庫での業務に降格させられたことについて、仕事を与えられない過少要求に該当すると判断されました。
コメント
 企業法務従事者としては、労働者のスキルにあった配属等をしなければ会社が責任を負うのかと不安になる部分もあるかもしれませんが、判例を見る限り極端な事案でしか会社の法的責任は認められていないので、良識の範囲内で配属等の判断をしていれば問題ないでしょう。
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 夏目 久樹
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 森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)








