消費者庁が洗浄ジェルで措置命令、優良誤認表示について
2020/06/01 広告法務, 景品表示法

はじめに
消費者庁は19日、実際よりも高いアルコール濃度を表示した洗浄ジェルを販売していたとして化粧品等の製造輸入販売業者「メイフラワー」(千代田区)に対し措置命令を出していたことがわかりました。実際には5~30%程度の濃度しかなかったとのことです。前回は有利誤認を取り上げましたが、今回は優良誤認について見直していきます。
事案の概要
報道などによりますと、同社は4月4日~14日、手指用洗浄ジェル「ハンドクリーンジェル」のラベルに「アルコール71%配合」などと表示して販売しておりました。しかし消費者からの苦情により第三者機関が分析したところ、実際にはアルコール濃度は5~30%しかなかったとのことです。同製品は韓国製で300ml、1500円~4000円で販売されていたとされます。これを受け消費者庁は再発防止策などを命じる措置命令をだしております。
優良誤認表示とは
景表法5条1号によりますと、商品・サービスの品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示、または事実に反して競争事業者のものよりも著しく優良であると示す表示が禁止されております。違反した場合には行為の差し止めや再発防止等を命じる措置命令(7条1項)、課徴金納付命令(8条)が出される場合があります。この優良誤認表示は故意に行った場合だけでなく、過失によって表示してしまっていた場合でも適用されることとなります。
優良誤認表示の要件
消費者庁のガイドラインによりますと、優良誤認表示における「著しく優良であると示す」表示に当たるかは、一般消費者を基準とし、社会一般に許容される誇張の程度を超えて、一般消費者の選択に影響を与える場合を言うとされております。業界の慣行や事業者の認識を基準とするのではなく、あくまでも消費者側からみて判断するということです。そして判断に当たっては表示上の特定の文章、図表、写真等だけでなく表示内容の全体から一般消費者が受ける印象・認識を基準とするとしています。
消費者庁への資料の提供
消費者庁長官は事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求めることができます(7条2項)。ここで合理的な根拠となる資料を提出できなかった場合には措置命令との関係では不当表示とみなされ、また課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されることとなります(8条3項)。そして「合理的な根拠」と言えるためには、試験や調査によって得られた結果、専門家、専門機関等の見解や学術文献などによって客観的に実証されていなければならないとされております。たとえばJIS規格により試験や公的試験機関、中立的な調査機関などによる調査などが挙げられます。
コメント
本件で問題となった洗浄ジェルは「アルコール71%配合」と表示されていたところ、実際には5~30%であったとされます。表示と実際での違いは単純に数値的な濃度であることから優良誤認に当たるかどうかは非常に明確な事例と言えます。これに対し痩身効果や美肌効果、血糖値低下などといった表示の場合は客観的な根拠提出は容易ではないと言えます。近年インターネット上で客観的根拠に乏しい過剰に誇張された表示が非常に増加していると言われております。また昨今のコロナウイルスの影響により消毒液等でも粗悪な輸入品が多く出回っているとされております。どのような場合に違法表示になるのか、また消費者庁にどのような資料を求められるのかを予め把握しておくことが重要と言えるでしょう。
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