【改正民法】瑕疵担保責任に関する変更点について
2019/07/24   契約法務, 民法・商法

はじめに

 2017年5月26日に成立した改正民法が来年2020年4月1日に施行されます。約200項目にも及ぶ大改正となっております。今回は改正点の多い債権法のうちの瑕疵担保責任に関する変更点について見ていきます。

現行民法の瑕疵担保責任

 現行民法570条によりますと、売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合、買主は契約の解除または損害賠償の請求ができます。中古不動産や中古自動車など特定物の売買では売り主は本来その物を現状のまま引き渡せば足り、仮にその物に瑕疵があったとしても責任を負わないはずでした(483条)。しかしそれでは買主に酷であることから法が特別に定めた責任だと言われております(法定責任説)。買主が解除や損害賠償請求を行うには、買主が瑕疵の事実を知ったときから1年以内に権利行使する必要があります(566条3項)。なお不特定物売買の場合には債務不履行の規定が適用されることとなります(415条)。

改正民法での変更点

 改正民法では上記瑕疵担保責任の規定は廃止され、新たに「契約不適合責任」の規定が新設されます。特定物・不特定物で分けられていた売主の責任が債務不履行責任に統一されるということです。特定物か不特定物かを問わず引き渡された物が「種類、品質及び数量に関して契約の内容に適合しないもの」である場合に契約不適合責任が発生します(改正民法562条~564条)。瑕疵担保責任のように隠れた欠陥である必要はなく、また債務不履行責任の一種であることから売主に帰責事由がなければ賠償請求はできないといった違いがあります。また欠陥の発生時期についてもこれまでは契約締結時までに生じたものに限られましたが、改正法では引き渡し時までに生じたものも含まれることになります。

契約不適合責任の内容

(1)追完請求
 売買の目的物に契約不適合があった場合、買主は売主に対して追完請求ができます(改正民法562条)。目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求できるということです。売主側としては買主に不相当な負担を強いる場合でなければ買主の請求した方法と異なる方法によることができます。たとえば修補するかわりに代替物を引き渡すといったことが可能です。

(2)代金減額請求
 契約不適合の場合に上記追完請求したにもかかわらず、売主が追完しない場合や追完が不能である場合にその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができるようになりました(563条)。なお当然のことながら不適合が買主の責任で生じた場合には減額請求はできません(同3項)。

(3)損害賠償請求
 契約不適合責任でもこれまでの瑕疵担保責任と同様に損害賠償請求ができます(564条、415条)。しかし上記のとおり債務不履行責任となったことから賠償の範囲は信頼利益だけでなく履行利益にも及ぶと言われております。信頼利益とは契約が有効であると信頼して負担した費用等を言います。そして履行利益とは履行がなされていたら得られたであろう転売利益などを言います。

(4)解除
 そして契約不適合責任でもやはり契約の解除はできます(564条、541条)。なお以前にも取り上げた契約解除の変更点でも触れましたが、改正法では解除するに際して債務者の帰責性は不要とされております。完全な履行がなされない契約から買主を開放するという趣旨です。

コメント

 以上のように売買目的物の欠陥等に関する規定は大幅に変更され瑕疵担保責任は廃止されております。これに伴い、契約書の条項でも隠れた瑕疵があった場合から契約不適合があった場合に変更する必要があります。買主の権利の内容も損害賠償と解除だけでなく修補などの追完や代金減額請求が追加されたことから、契約条項もそれに合わせて修正していくこととなります。なお現行法の瑕疵担保責任と同様に、改正法の契約不適合責任も任意規定であることから従来どおり特約で排除することも可能です。来年4月の改正法施行までに変更点を正確に把握して契約書の内容を検討していくことが重要と言えるでしょう。

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