消費者庁が優良誤認表示について措置命令、優良誤認表示とは
2019/06/13   広告法務, 景品表示法

1.はじめに

 消費者庁は、今月5日、株式会社ECホールディングスに対し、同社が販売している「ブラックサプリEX」の商品の表示について、不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景表法」という。)5条1号に違反する優良誤認があったとし、措置命令を行いました。今回は、景表法が違法とする優良誤認とその行為に対して行われる措置命令、課徴金納付命令について見ていきます。

措置命令内容:消費者庁景品表示法関連報道発表資料

2.事案の概要

 消費者庁の報道発表によると、ECホールディングスは、「ブラックサプリEX」という商品について、この商品を飲めばあたかも白髪が黒髪になる効果が得られるような表示をしていたとしています。それに対し、消費者庁は、期限を定めて、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。しかし、同社が資料を提出しなかったため、 再発防止策を講じてこれを役員及び従業員に周知徹底すること、今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、 同様の表示を行わないことを内容とする措置命令を行いました。

3.優良誤認表示とは(景品表示法5条1号)

 景表法は、一般消費者の利益保護を目的として、①商品の内容について実際のものよりも著しく優良であることの表示、②事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であることの表示で、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を違反行為としています。消費者庁によれば、「著しく」とは、誇張の程度が社会一般に許容される程度を超えて一般消費者による商品、サービスの選択に影響を与える場合をいい、その判断は商品の表示全体から行われるとしています。
 本件においては、「Before」ではイラストの白髪の人物が「After」のイラストにおいて黒髪となっていること、「いくつになっても、柔らかな印象で ゆるふわっ!華やか!」、「年齢のせい・・・じゃなかった!」 及び「1日3粒※飲むだけで私もこんなに変われた秘密のサプリ! ※ 3粒は目安です」等と記載したことから、表示全体として、あたかも対象商品を摂取することにより、白髪が黒髪になる効果が得られるかのように誇張する表示をしていたと判断されました。
 また、「※使用感には個人差がございます」や「※お客様のお声であり、実感には個人差がございます。効果・効能を保証するものではございません。」と記載していても、当該記載は、一般消費者が表示から受ける対象商品の効果に関する認識を打ち消すものではないとし、本件表示は全体として優良誤認表示になると判断しています。

4.不実証広告規制について

 消費者庁は、優良誤認表示の効果的な規制のため、調査の必要がある場合に、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。そして、それを提出しない場合、消費者庁は当該表示を措置命令については優良誤認表示とみなすことができ、課徴金命令については推定することができます。ここでいう「合理的な根拠」とは、提出資料が客観的に実証された内容のもので、表示された効果・性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応されている場合に認められます。

5.違反行為に対する命令について

 優良誤認表示が認められると、措置命令(景表法7条1項)、課徴金納付命令(景表法8条1項)がなされ、消費者庁によってそれらの公表がなされます。
 措置命令は、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないこと等を命ずるものです。
 課徴金納付命令は、優良誤認表示の対象となった商品の売上額に対し、その額の3%の課徴金を課すものです。しかし、当該表示が優良誤認表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者の場合、または、算定された課徴金が150万円以下(売上額5000万円以下)の場合は、課徴金が課されません。この「知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められる」か否かは、当該事業者が課徴金対象行為に係る表示をする際に、当該表示の根拠となる情報を確認する等、正常な商慣習に照らし必要とされる注意をしていたかにより、個別事案ごとに判断されます。

6.コメント

 本件においては、ECホールディングスが合理的な根拠を示す資料の提出ができなかったことから、措置命令がなされています。
 この資料は、試験や調査により得られた結果や、専門家の見解によって根拠を示す必要があり、その調査も、例えば少数のモニターのみを用いた統計や、積極的に消費者の方から送られた意見のみを用いた調査は客観性が十分に担保されていないとして認められません。また、よく見かける「専門家監修の下」という表示も、それだけでは実証があったとはいえず、当該専門分野の一般的な効果よりも過大な表現を行うと、優良誤認表示に当たる場合があります。
 しかし、信頼できる検査を行い、その報告を下に優良誤認表示をしてしまった場合は、当該表示が優良誤認表示に当たると分かった段階ですぐに表示を取りやめれば、課徴金納付命令を逃れることができます。
 以上のことから、まずは、具体的な事例から、どのような表示が優良誤認表示に当たるかチェックすることが必要となります。さらに、効果等の表示をする際には合理的な根拠を実証し、仮に消費者庁から優良誤認表示に当たるのではないかと資料提出を求められた場合に提出ができるように備えた上で、販売を行うことが重要になるでしょう。

参照:
不実証広告規制に関する指針(消費者庁)

課徴金納付命令に関する考え方

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