消費増税と広告法務
2018/10/29   広告法務, 景品表示法, 税法

1、はじめに
消費税が10%となる予定の平成31年10月に合わせ、企業はセール等を行うことが予測されますが、その際に行う広告は、消費税の円滑かつ適正な確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下、特措法)の第8条各号によって規制されます。では、企業にはどのような広告が許されるのでしょうか。以下、説明していきたいと思います。
2、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する措置
内閣府のガイドラインによると、平成26年4月1日及び平成31年10月1日による消費税率の引き上げに際し、特措法が適用されます。それによって、供給する商品または役務の取引について、消費税分を値引きする等の宣伝や広告等が禁止されます。その趣旨としては、消費税は最終的に消費者が負担し、事業者が納付するものであるのに、あたかも消費者がその負担をしていない又はその負担が軽減されているという誤認を与えることを防止するとともに、納入業者への買いたたきや競合する小売業者の消費税の転嫁を阻害することを防止することにあります。特措法によると、具体的には以下のものが禁止されることになります。
(1)取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
「消費税は転嫁していません」「消費税は当店が負担しております」など
(2)取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部をを対価から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの
「消費税上昇分値引きします」など
(3)消費税に関して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって(2)に掲げる表示に準ずるもの
「消費税相当分、次回に購入できるポイントを付与します」など
3、許されると考えられる広告
特措法の趣旨によると、本法は、あくまで消費税を値引きする等の宣伝・広告を禁止するものである、とされています。したがって、事業者が独自に価額設定を行うことは認められるし、特措法8条に該当しない限り、セール、安売り等の文言を使って宣伝・広告することは許されることになります。
例えば、「毎月〇日は、8%割引」「2%還元」など偶然、消費税率と一致したり、消費税率の引き上げ幅と一致するもの、「秋の大バーゲンセール」など消費税と関連が分からないものは許される可能性が高いと思われます(内閣府ガイドラインより)。
4、法務部員としての対応
広告は、店に置かれるPOPなど、法務部員にいちいち伺いを立てずに、店員の自由な裁量で置かれるものも含みます。消費増税のタイミングでセール等を行いたい企業も多いと思われますので、法務部員は、仮に増税がなされた際には、相談を受けた広告だけでなく、普段チェックしないようなPOPなどについても、特別に注意を払ってチェックしてみることが期待されます。
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 田代 洋介
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 早崎 智久 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/第二東京弁護士会所属)
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 岡 伸夫
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