ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく措置について
2018/10/26 危機管理, 広告法務, 景品表示法
1.はじめに
10月18日、消費者庁は、株式会社ジャパネットたかたに対し、広告に不当な表示があったとして再発防止を求める命令を行いました。広告の表示には法律上の規制があり、この規制に違反した者には措置命令という、広告の差止め等の命令が行われます。この命令に違反した場合には、事業者の懲役や罰金等の重い罰則が科されることもあり、法務としては慎重に対応していく必要があります。
今回は、この事件を基礎に、広告を審査するうえでどのような点に気を付けるべきか、紹介していきます。
2.措置命令の概要
対象となった商品は、エアコンとテレビです。
エアコンについて、対象となった広告媒体は会員カタログ、新聞折り込みチラシ、ダイレクトメール及び自社ウェブサイトです。問題となった表示内容は、「ジャパネット通常税抜価格」が本件エアコンについて最近相当期間にわたって販売された実績のないものであったにもかかわらず、あたかも、「ジャパネット通常税抜価格」と称する価額が本件エアコンについて通常販売している価格であり、「値引き後価格」等と称する実際の販売価格が、当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していたというものでした。
また、テレビについて、対象となった広告媒体はダイレクトメールであり、「ジャパネット通常税抜価格」が最近相当期間にわたって販売された実績のないものであったにもかかわらず、「ジャパネット通常税抜価格」と称する価額が本件テレビについて通常販売している価格であり、「値引き後価格 会員様特価」と称する実際の販売価格が、当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していたというものでした。
消費者庁は、この2つの表示について、①表示が景品表示法に違反するものであることを消費者に周知徹底すること、②再発防止策を講じ、役員及び従業員に周知徹底すること、③今後同様の表示を行わないことを求める措置命令を行いました。
3.「不当な表示」とは
景品表示法では、「不当な表示」を行うことを禁止しています。「不当な表示」には、①商品、サービスの品質、規格など、商品やサービスそのものについて、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認させる優良誤認、②価格などの取引条件について、実際よりも著しく有利であると一般消費者に誤認させる有利誤認、③その他、一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ、内閣総理大臣が指定する表示があります。
本件では、実際には値引きの事実がないにもかかわらず値引きをしているという表示をしたことが問題となったため、②有利誤認が問題となっています。
4.法務としての対応
法務としては、不当な表示を防止するだけでなく、不当な表示をしたことが明らかになった場合に迅速な対応をすることが求められます。
不当表示の防止のためには、どのような場合に不当な表示となるか従業員に周知徹底し、表示の根拠となる情報を確認、共有することができる体制作りをすることが大切だと思います。
そして、不当な表示をしたことが明らかになった場合は、原因究明のために関係従業員から事実関係を聴取し、その事実関係を速やかに一般消費者や行政庁に報告し、再発防止に向けて改めて社内教育をすることが大切だと思います。
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