人材不足救う外国人「選ばれる企業」になるには
2018/06/12   労務法務, 労働法全般

1 はじめに

安倍首相は、建設・農業・介護など深刻な人手不足に悩む企業を対象に、2019年4月に新たな在留資格を設けることを表明しました。原則認めていなかった単純労働に門戸が開き、25年までに50万人超の就業を目指します。

2 在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本に入国して滞在する際の身分や活動範囲の分類をいいます。調理師などの「技能」、外国からの勤務者である「企業内転勤」、など36種があります。滞在期間は多くの資格で最長5年間です。資格によって、労働の待遇や雇用条件が異なります。収入などの条件を満たす「高度専門職」は複数の職種の活動を認め、永住要件でも優遇措置があります。資格取得の手続きは出入国管理法と法務省令で定められています。

3 在留外国人の増加

法務省は2020年までの出入国管理基本計画で資格を拡大する方針を示しました。16年に成立した改正入管法では、日本の介護福祉士の資格を持つ外国人に「介護」の資格を認めるなどしています。資格には「留学」や「技能実習」があり、就労が主目的ではないが、飲食店や小売店でアルバイトとして働く外国人も多く存在します。「永住者」や「日本人配偶者」を含む、17年末の在留外国人数は、約256万人と前年末に比べ7.5%増え、過去最高でした。日本の労働人口は約6600万人であり、17年10月末時点の外国人労働者約127万人でした。約50人に1人は外国人が労働人口を担っていることになります。

4 新資格

新たな在留資格を得るには2つの入り口があります。一つは最長5年の技能実習制度の終了です。これまでは、技能実習生は研修期間を終えると本国に帰還しなければいけませんでした。
もう一つの入り口は、新たに導入する試験に合格することです。日本語の能力水準は、ある程度の日常会話ができる「N4」を原則として、建設や農業などでは日本語さらに苦手な人でも認めることになります。技能面の能力も確認します。

5 今後の課題

外国人の就労環境の整備が課題です。これまで、雇用主が社会保険に加入しないなどの外国人への不当な扱いが社会問題となってきました。新たな在留資格では、外国人労働者に対して日本人並みの報酬を払うように義務付けます。さらに、企業には、賃金以外の待遇面も含めた就労管理を徹底することが求められます。
新資格により技能実習終了による雇用継続が認められることから、外国人実習生の育んだ技術を継続して活用すべく、企業は技能実習制度を利用する機会が増えることが予想されます。技能実習制度の活用による外国人労働者の増加により、特に法務担当者が目を光らせるべきは、一人一人の外国人労働者に対する法令順守・管理体制の密度が希釈していないか、という点です。すなわち、在留資格のない外国人を働かせたことによる不法就労助長罪(入管法73条の2)に処せられないようにすること、労働条件による国籍差別がされないようにすること(労働基準法3条)、雇用対策法に基づく外国人労働者の届出を確実に行い、処罰されないようにすること(同法28条・40条1項2号)などを、雇用前にセミナーを開催しあるいはリーフレットを配布する等により採用担当者と意識共有することです。法令順守がされない企業との風評は、外国人労働者採用において大きな不利益となります。技術を修得した貴重な外国人労働者の人材流出を防ぐ意味でも、労働基準法等の労働者保護の法令順守に新たな意義が生じています。
企業も、雇用環境の整備・法令遵守両面から、外国人から「選ばれる」ことが求められる時代が来るといえましょう。

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