日本サプリメントに課徴金納付命令、トクホと優良誤認について
2017/06/14   広告法務, 景品表示法

はじめに

消費者庁は7日、許可条件を満たしていない商品を特定保健用食品として販売した行為が景表法違反にあたるとして「日本サプリメント」(大阪市)に対し、5471万円の課徴金納付命令を出していました。関与成分の存在に疑義があるにも関わらずトクホであることを表示し続けたことが違法とのことです。今回はトクホ表示と景表法違反について見ていきます。

事件の概要

健康食品等の通信販売を行う日本サプリメントは特定保健用食品の許可を受けて錠剤型サプリ「ペプチドエースつぶタイプ」「豆鼓(とうち)エキスつぶタイプ」の販売を行っておりました。消費者庁の発表によりますと、同社は2014年3月にこれらの製品について自主検査を行った所、トクホ表示の関与成分が表示通りに含まれていなかったことが判明しました。そして2016年9月15日、同社は消費者庁に対してその旨の報告を行いました。これを受けて消費者庁は同月23日、同社への許可を取り消しました。保健機能食品制度開始以降初の取り消しとなります。同社は自主検査によって成分が含まれていないことが判明した後も2年間にわたり報告せずに販売を続けていたことになり、消費者庁は今年2月14日、景表法に基づき再発防止の措置命令を出していました。

特定保健用食品とは

特定保健用食品(トクホ)とは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中コレステロールなどを正常に保つといった特定の保健の用途に資する旨を表示する食品を言うとされております。特定保健用食品として表示するためには健康増進法26条1項、29条1項の規定により消費者庁長官の許可を受ける必要があります。許可を受けるためには、その食品が食生活の改善に寄与することを目的とし、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであって以下の要件を満たすものである必要があります。

許可要件

①食品又は関与成分について、表示しようとする保健の用途に係る科学的根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること。
②食品又は関与成分についての適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるものであること。
③食品又は関与成分が、添付資料等からみて安全なものであること。
④関与成分について、次の事項が明らかにされていること。ただし合理的理由がある場合には、この限りではない。
(ア)物理学的、科学的及び生物学的性状並びにその試験方法
(イ)定性及び定量試験方法

景表法による規制

景表法5条1項によりますと、「商品又は役務の品質、規格その他の内容」について「実際のものよりも著しく優良である」旨の表示し「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある」場合には、いわゆる優良誤認表示として禁止されることになります。違反した場合には当該行為の差止め、再発防止を命じる措置命令が出されます(7条)。また昨年4月から課徴金制度が施行され、違反期間中の該当商品の売上額の3%が課徴金として納付を命じられることもあります(8条)。また措置命令に違反した場合には2年以下の懲役、300万円以下の罰金が課される場合もあります(36条)。

コメント

本件で日本サプリメントは製品の表面にトクホのマークと「血糖値が気になり始めた方に適した食品」との表示を行っておりました。またテレビCMやウェブサイトで「トクホ血糖値カテゴリー8年連続通信販売ナンバーワン!」「国にその有用性が認められた特定保健用食品」などと表示して宣伝を行っておりました。しかし実際にはすでに関与成分が存在しないことが2014年の時点で判明しておりました。それにもかかわらず以後2年にわたってこれらの表示を続け販売していたことが悪質であるとして、消費者庁は今年2月の措置命令に続き今月7日、5471万円の課徴金納付命令を命じました。許可要件を満たさないことが判明した後も継続してトクホ製品であるとの表示が実際よりも著しく優良である旨の表示と認定されたことになります。現在のトクホ制度が1991年に開始されて以降、監督官庁はそれまで許可商品の検査を行っておりませんでしたが、今回の事件を機に1200件以上の商品について調査を命じております。トクホ許可の取得には2年程度の期間と億単位の費用がかかると言われております。しかし課徴金はそれを超えることもありえます。自社のトクホ製品の成分について実際に許可要件を満たしているのか疑義がある場合は慎重に調査の上、含まれていないことが判明した場合は迅速に消費者庁に報告することが重要と言えるでしょう。

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