留学生の不法就労問題
2016/11/11   外国人雇用, 民法・商法

1  事案の概要

8日、福島県西郷村議であり日本語学校「新白河国際教育学院」の学院長佐藤厚潮とその妻で副学院長の絵美子がネパール人留学生の不法就労をあっせんしたとして出入国管理及び難民認定法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕されました。また、不法就労していた同学院の留学生男女3名が出入国管理及び難民認定法違反(資格外活動)の疑いで逮捕されました。
 佐藤両容疑者は、留学生に認められている週28時間以内の就労時間を超えると知りながら、留学生3名に対してパート先として須賀川市の食品加工会社と白河市の飲食店を紹介した疑いがあります。留学生3名はパート従業員として勤務し、勤務時間は週最大約61時間にも上っていたとのことです。
出入国管理及び難民認定法(73条の2)

2 不法就労とは

不法就労とは以下の2つの場合を指します。
 ①我が国に不法に入国・上陸したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動
 ②正規の在留資格を持っている外国人でも、許可を受けずに、与えられた在留資格以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
東京労働局
不法就労防止リーフレット(法務省)(pdf)

3 不法就労事件

 不法就労事件は、平成24年までは減少傾向にありましたが、平成25年に7038件、平成26年は6702件、平成27年には7973件と増加傾向にあり、3年間で1000件近くも増加しています。
 不法就労者の国籍・地域としては、中国が全体の41パーセントに達し、以下タイ、ベトナム、フィリピン、韓国の順となっており、5か国全体で85.7パーセントに上ります。
入管法違反事件の統計(3ページ目)(pdf)

4  雇用主に対する罰則

(1)不法就労助長罪
 不法就労させた場合には雇用主は不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項)となります。
 不法就労助長罪は、「①事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせる行為又は②外国人に不法就労活動をさせるために、自己の支配下に置く行為又は③業として、外国人に不法就労活動をさせる行為、又は②の行為をあっ旋する行為を処罰の対象とし、これらに該当した者については3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する」と定められています。
厚生労働省のお願い
(2)不法就労外国人であることを知らずに雇用した場合
 不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合で不法就労であるとはっきり認識していなくても、その可能性があるにもかかわらず、確認をせずに雇用するような場合等、知らないことに過失があった場合も、処罰の対象となります。
 したがって、外国人労働者を採用する場合には、旅券(パスポート)又は在留カード等により、「在留資格」「在留期間」「在留期限」を確認することが重要となります。特に、「在留資格」については、就労活動が認められる在留資格かどうかを確認する必要があります。

5 留学生と就労

 留学生は、資格外活動許可を受けた場合にアルバイトを行うことができます。
 したがって、企業は、その留学生が許可を受けているかどうかを確認し、許可を受けている場合はアルバイトとして雇うことができます。
 資格外活動許可を受けている場合は、パスポートに許可証印又は「資格外活動許可書」が交付されていますので、それを確認してください。
 留学生は、アルバイト先が風俗営業又は風俗関係営業が含まれている営業所に係る場所でないことを条件に、週28時間以内を限度として勤務先や時間帯を特定することなく、包括的な資格外活動許可が与えられます(当該教育機関の長期休業期間にあたっては、1日8時間以内)。
 そして、資格外活動の許可を受けずにアルバイトに従事した場合は、不法就労となります。また、その場合企業は不法就労助長罪となります。
外国人雇用に関するQ&A(東京労働局)

6 出入国管理及び難民認定法の一部改正

「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成26年法律第74号)が可決・成立し、平成26年6月18日に公布されました。
 この改正は、①経済のグローバル化の中で、我が国の経済の発展に寄与する外国人の受入れを促進するため、高度の専門的な能力を有する外国人に係る在留資格を設ける等の在留資格の整備を行うことと②上陸審査の手続の一層の円滑化のための措置等を講ずるものです。
 以下のホームページに詳しく改正のポイントが記載されています。
入管法が変わります(法務省入国管理局)

7 コメント

 雇用主が不法就労助長罪を犯した場合には3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は両方を科されることになります。このような刑罰を科されるということは直接的に雇用主に大きなダメージを与えるものとなります。また、このような刑罰を科されたということは企業として社会的な信頼を失うことになります。
 したがって、企業としては、旅券や在留カードを忘れずに確認し、不法就労助長罪とならないように注意する必要があります。

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