マイカー通勤対策だけでは不十分!?自転車通勤中の事故で莫大な損害賠償を支払わなければならない可能性あり
2015/10/19 法務相談一般, 民法・商法, その他

エコ・健康ブームの高まりの中、通勤手段として自転車による通勤を選ぶ従業員も多いのではないでしょうか。通勤時に従業員が起こした事故に会社の責任が問われる可能性があるのは自動車のみならず自転車も決して例外ではありません。
自転車事故だからといって損害額が低くなるわけではない
当時小学5年の少年(10才)が乗った自転車と歩行者が衝突した事故の損害賠償訴訟で平成25年7月4日の神戸地裁判決は少年の母に約1億(将来の介護費約4000万円、自己で失われた逸失利益約3000万円、怪我の後遺症3000万円)と高額の賠償を命じました。
この事案は被害者が自己の影響で寝たきりの状態になったことも影響して賠償額が高額になったので自転車事故であれば一概に高額というわけではありません。しかし自社の従業員が通勤中に起こした事故につき高額の賠償を支払われければならなくなる可能性があります。
損害賠償請求の根拠
通勤時に従業員が起こした事故で会社が損害賠償を問われるおそれのある根拠は二つあります。
一つは①民法715上の使用者責任に基づくものともう一つが②自賠法3条の運行供用者責任に基づくものがあります。
具体的には従業員の自転車通勤が①会社の「儀業の執行について」行われたもの(会社業務と密接に関連するものも含む)であること②被用者の自転車通勤が業務に従事中の場合で(1)会社が運行を支配し、(2)運行による利益が会社に帰属することです。
いかなる場合に責任を負うのか
純粋に通勤で自転車を利用している場合に事故を起こしても会社の事業と密接関連性なく無関係に行われ、会社に利益が帰属しているといえないため責任を問われる可能性は限りなく低いでしょう。
ただ会社が自転車通勤者に手当を支給する等会社が積極的に自転車通勤を推奨している場合や自転車通勤を黙認し実質的にみて自転車通勤を推奨していると認められる場合には会社の事業と密接に関連し、会社に利益が帰属すると認められる可能性は高くなるでしょう。
いかなる対策を講ずべきか
自転車通勤はマイカー通勤と同様自転車管理通勤規定を設け自転車保険に加入している者のみ自転車通勤を許可する運用を行うことが考えられます。自動車と異なり強制保険制度がない自転車においては企業への損害を最低限にするため保険の加入は必須といえます。また自転車通勤するにあたり道交法を遵守する誓約を取り付け、利用者が誓約に違反した場合に許可を取り消す等の対策を講ずることが考えられます。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分
- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分
- 弁護士
- 境 孝也弁護士
- さかい総合法律事務所
- 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階
- 弁護士

- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階
- セミナー
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
- 終了
- 2025/05/21
- 12:00~12:45
- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- ニュース
- 東京五輪をめぐる汚職事件でコンサル会社元代表の初公判、受託収賄とは2025.12.8
- NEW
- 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で大会組織委員会の元理事とともにコンサル会社「コモンズ...
- まとめ
- 改正障害者差別解消法が施行、事業者に合理的配慮の提供義務2024.4.3
- 障害者差別解消法が改正され、4月1日に施行されました。これにより、事業者による障害のある人への...












