BGMに潜む著作権上の落とし穴
2015/10/15   知財・ライセンス, 著作権法, その他

1 概要

 飲食店等で、ヒット曲がBGMとして流れているのを耳にすることがある。自分や社員が購入したCDを店舗でBGMとして流しているから問題ないとしてしまうと、著作権法に抵触するという落とし穴がある。著作権法では音楽などの著作物について、作曲者などの著作権者に「上演・演奏権」を認めている。そのため、店舗での音楽再生は、この演奏権の対象になり、店舗で流すといった営利目的の使用では、別に著作権使用料を支払う必要がある。日本音楽著作権協会(JASRAC)は2015年6月、音楽著作権の手続きをしないまま店舗でBGMを流しているとして、171事業者、258施設に対し、全国15簡易裁判所に民事調停を申し立てた。そこで、著作権侵害とされる範囲について検討する。

2 許容範囲

 「上演・演奏権」は、脚本を舞台等で上演したり、音楽などを演奏したり、または市販CDを再生したりして、公衆に見せたり聞かせたりすることを独占する権利であり、店舗でBGMを流す行為も演奏にあたる。しかし、以下の場合には権利制限がされる。
(1)営利を目的としないBGMの使用
著作権法第38条第1項は、営利を目的とせず、観客から料金をとらない場合は、著作物の上演・演奏・上映・口述(朗読)などができる。ただし、出演者などは無報酬である必要がある。
 ※著作権法第38条第1項「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない」
 (2) 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内での使用
 著作権法第30条第1項は、自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる。
※著作権法第30条第1項「著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる」

3 コメント

 ここ数年で、デジタル機器が進歩したことから音源がPCやネットラジオ、携帯音楽プレーヤー、市販CDなどに多様化した。このような形で音源を利用する場合には施設ごとに個別に著作権の手続きが必要だが、現状ではこの手続きが行われていないまま利用している施設が多くある。BGMとして店舗での音楽利用があれば利用料を徴収するという規定が、著作権法第1条に規定する「文化の発展に寄与すること」を目的とする著作権法の趣旨に沿っているかは、熟慮する必要があると思える。しかし、現状の著作権法の下では、著作権管理事業者と利用許諾契約をする必要があり、安易に音源を利用しないように注意する必要があるだろう。また、音楽CDの場合でも、著作権フリーのCDが販売されているので、こちらを積極的に活用することも考えられるだろう。

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