海外展開に伴い求められる外国公務員への贈賄対応
2015/05/26 海外法務, 海外進出, 外国法, 刑事法, その他

企業の海外取引が増加するに従って、外国公務員への贈賄の問題がクローズアップされており、これに対する法的対応が問題となっている。
日本法では、不正競争防止法上、国際商取引における外国公務員への不正な利益供与は犯罪となる。また、行為者のほかその法人に対して 、罰金が課されることになる。日本国内で外国公務員(大使館職員など)へ賄賂を行った場合はもちろん、海外の仕事先で現地の公務員に賄賂を行った場合も、この法律により罰せられる可能性がある。
経産省による外国公務員贈賄防止指針
経産省は外国公務員贈賄防止指針を公表しており、その中で以下のような内部統制の在り方が示されている。
①基本方針、コンプライアンスプログラムの策定
・違法行為を行った従業員に対しては、その行為に応じて懲戒等の厳格な制裁を課す旨を事前に明確化しておく。
・基本方針は海外支店に勤務する外国人職員等への周知のみならず、外国投資家や商取引相手の理解を求める等の場面で活用できるよう、必要に応じ翻訳しておく。
②組織体制の整備
・コンプライアンスプログラムの策定、見直し、問題が生じた場合の対応、監査結果への報告などに企業の最高責任者自らが関与する。
・社内統一のコンプライアンス責任者を指名し、企業の最高責任者を含む取締役会に対し定期的に報告を行う。
・相談及び内部通報等を受け付けるための窓口を設置し、秘密性確保のために、弁護士等外部専門家等を積極的に活用する。
③社内教育
国際商取引に関連する従業員に対しては、教育・訓練活動を行う。教育・訓練活動は、採用時及び関連部署への転属時に行うことが重要である。
その他、定期監査などの必要性についても触れられている。
詳しくは以下のリンク参照
外国公務員贈賄防止(METI/経済産業省)
FCPAへの留意
上記不正競争防止法以外にも、進出先国の法規制を把握しておく必要があるのは、もちろんであるが、FCPA(Foreign Corrupt Practices Act :アメリカの海外腐敗防止法)にも留意する必要がある。
FCPAは、米国域外で、米国以外の企業が行う贈賄行為のような、一見米国と無関係に見える事案であっても、米国に関連する事項がある場合には、適用される可能性があるため注意を要する。
FCPAの適用対象は、米国上場企業(米国企業、外国企業双方を含む)、外国企業の米国現地法人、米国人を採用している企業などであり、賄賂の送金が米国の銀行を通じて行われた場合や、米国への出張者が米国内でメールなどを通じ、賄賂の決済を行った場合にも適用される。
また、制裁措置も非常に重いものとなっており、最高で、法人には200万ドル、個人には25万ドルの罰金が課せられる。
賄賂の取り締まりは、国際的に強化される傾向にあるので、今一度自社のリスク管理体制や対応方針を再確認する必要があるだろう。
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- 原内 直哉弁護士
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斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
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