改正景表法施行で企業に求められる対策
2015/01/16   広告法務, 消費者取引関連法務, 景品表示法, その他

昨年景品表示法が改正され、12月1日から一部を除いて施行されている。この法改正で企業はどう対応すべきか。

景表法の主要な改正点

①都道府県の権限強化
改正以前は、景表法違反の事業者に対して、再発防止を求める措置命令を出す権限は消費者庁に限られていた。改正景表法は都道府県も措置命令を出せるようにした。

②各省庁の権限強化
農林水産省や経済産業省などにも、消費者庁に限られていた調査指導権限が与えられた。各省庁は、所管する事業者に対し立ち入り検査ができる。

③事業者のコンプライアンス体制の確立
事業者に景表法を順守するための管理体制の整備や、必要な措置を講じることが義務付けられた。
また事業者が必要な措置を講じていない場合には、内閣総理大臣は指導・助言、勧告をすることができ、勧告に従わない場合には事業社名を公表することもできる。

④課徴金制度の導入
措置命令を受けた事業者への課徴金制度が導入された。課徴金額は不当表示が行われた期間(最大3年)における、当該違反商品売上高の3%。もっとも、課徴金の額が150万円未満の場合は免除される。課徴金制度については現在未施行であるが、2016年春までに施行される見通しとなっている。

企業に求められる対策

景表法を遵守する体制の構築

改正法に基づいて内閣府が発表した「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」によれば事業者が講じるべき、管理上の措置の内容として以下の項目があげられている。

①景品表示法の考え方の周知・啓発
②法令順守の方針の明確化
③表示等に関する情報の確認
④表示等に関する情報の共有
⑤表示等を管理するための担当者等を定めること
⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

具体的な内容としては、社内報、メールマガジンなどで自社に関わる法令の内容、取り扱い商品類似の景表法違反事例などを掲載し、従業員に周知する。法令違反があった場合、懲戒処分の対象となる旨を就業規則や社内規則に明記する。社内規程で、不当表示が発生した場合の連絡体制、具体的な回収等の方法、関係行政機関への報告の手順等を規定する。社内資格制度を設け、関連法令について一定の知識を有する者でなければ、表示等の作成や決定をすることができないとするといった対策が考えられる。

課徴金対応

課徴金は150万円未満の場合、免除されるほか、不当表示の被害者に自主的に返金した場合は免除・減額の措置がある。また企業が違反を自主申告すれば、課徴金は半減となる。
不当表示であることを「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき」も課徴金は免除される。
「相当の注意」とはどの程度の注意なのか、実際どのように運用されるのか不明確な部分ではある。結果として不当表示となったものの、商品の仕入れ先などに表示の根拠を確認するなどの行為を行っていれば、課徴金が免除される可能性はある。
表示などをめぐる、取引先とのやり取りの記録を証拠として残しておくことも重要となる。

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