アナウンサー職の内定取り消し
2014/11/17   労務法務, 労働法全般, その他

アナウンサー職で内定取り消し

大学4年の女子学生がクラブでホステスのアルバイトをしたことを理由に、日本テレビのアナウンサーの内定を取り消された。
その理由は、クラブでのホステスのアルバイト経験が、アナウンサーとして求められる高度の清廉性に欠けるためとされている。

内定取り消しが適法となるメルクマール

内定取り消しが適法か否かは、すでに労働契約が成立しているため解雇の問題となるので、労働契約法16条により無効とならないかが問題となる。内定取り消しが適法となるかについて、大日本印刷事件(最二小判昭54・7・20)は
・内定当時知ることができず、また内定当時知ることが期待できないような事実であり
・上記事実を理由として内定を取消すことが内定に留保された解約権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ
・社会通念上相当として是認することができる
といえる場合にはじめて内定取り消しが適法になるとした。なお、上記事件は、内定を受けた学生が、後に陰気な印象であったため内定取り消しを受けたという事案である。陰気な印象か否かは面接時点で知ることができる以上、内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であるとはいえない。よって、内定取り消しは違法とされた。

なぜ、ホステスのアルバイトが清廉性にかけるの?

なぜ、ホステスのアルバイト=清廉性がないということになるのだろうか。おそらく、ホステスのアルバイトが女性としての魅力を武器に近い距離でサービスを提供しながら高額な料金を受け取るという意味でマイナスイメージがあるからである。だが、ホステスの業務について具体的内容を見ると、企業の重役を相手にし経済・社会問題等の豊富な話題により客にお酒を楽しんでもらう業務であり、ホステスらは常識・知性を身につけている人材ということになる。となると、ホステスをひとくくりに清廉性に欠けると断罪するのは考え物である。

今後の予測

日本テレビ側がアナウンサーの採用基準を高度の清廉性に求め、裁判所がクラブ勤務について高度の清廉性に反すると評価するのであれば、本件内定取り消しは適法ということになりそうである。女子大生側からすれば、内定者としての地位を強く求めている一方で、日本テレビ側もアナウンサーは公となる人物であり週刊誌で自社の社員が記事にされるおそれがあると企業イメージにもかかわるため、経歴に対し潔癖さを特に重視し譲ることは考えにくい。
どちらにしても、内定取り消しが訴訟上問題となった場合、内定取り消しとして認められるか否かは裁判所の評価の問題であることに加え、和解となるとケースによっては結局雇用しなければならなくなる上に和解金を払わなければならなくなるという幕引きにもなりうる。内定取り消しを行う際には、紛争発生の恐れがあるか否かや法的決着の着地点がどこになるかを十分検討するべきである。

関連条文

労働契約法第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

参考サイト

独立行政法人労働政策研究・研修機構 大日本印刷事件

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