交際費増加につながるか!?大企業でも損金扱いの方針へ
2013/10/15 税務法務, 租税法, 税法, その他

事案の概要
交際費とは,主に「交際費,接待費,機密費その他の費用で,法人が,その得意先,仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待,供応,慰安,贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」という。)のために支出する費用」をいう(租税特別措置法61条の4第3項)。
企業の交際費は1992年年度から2011年度までの間で約1/3にまで減少したとされる。零細企業の多い飲食店の経営を圧迫するだけでなく,消費の伸び悩みの一因とする声も上がっていた。そこで,上記の中小企業優遇措置が採られてきたのである。一方,大企業においては,過剰な接待を抑制し,企業の内部留保を確保するため,損金としての計上は認められなかった。
しかしながら,現状において,企業の資金が充実してきたため,本来の意義は希薄なものとなってきている。交際費については,2013年度税制改正で,当該事業年度終了日における資本金または出資金が1億円を超えない,いわゆる中小企業の優遇措置が採られた。その結果,中小企業においては800万円までを損金として計上することが認められてきた(同条1項)。2014年度税制改正においては,さらなる消費拡大をめざし,大企業も交際費の損金計上が可能となるようにする見通し。もっとも,無制限な損失としての計上を認めるのではなく,上限を定める案が有力なようである。
財務省としては大企業が交際費を損金として計上することで,課税所得が減少するため,その分税収減が見込んでいる。半面で,企業としても課税対象とならない結果内部に抱え込む資金が外部に流出しやすくなる。そこで,財務省としては消費拡大を図り本措置を採る見通し。
そのため,この措置はデフレ脱却が確実になるまでの時限措置となると見込まれている。
コメント
交際費が課税の対象となるのであれば,交際費をなるべく抑えようとする傾向自体は必然である。消費増税に伴う消費需要の落ち込みを回復するうえでは解決すべき問題の一端であるといえる。
もっとも,交際費が損金として扱われるからと言って必ず向上につながるかといわれると,疑問である。むしろ,企業の交際費よりも個人の支出を増額させる必要があるのではなかろうか。
そのため,企業の交際費について,全面的に損金として扱うことは慎重であることが要求されよう。
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