労働者派遣法改正へ-期間制限撤廃は労働者のためになる?
2013/08/07 労務法務, 労働者派遣法, その他
事案の概要
厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(以下、研究会)が6日、派遣労働の上限制限などの規制を実質的に緩和する報告をまとめた。具体的には、「業務」に対して設けられている最長3年の期間制限を撤廃し、「個人」への制限に切り替えるよう求めている。今後、詳細の検討をし、2014年の通常国会に労働者派遣法の改正案を提出する予定である。
現行制度では、「専門26業務」(通訳、アナウンサー等)と呼ばれる業務以外には、最長3年の上限期間がある。この期間は、企業が業務を派遣社員に任せてよい期間である。そうだとすると、例えば前任者が2年半働くと、後任者は半年しか働くことができない。これでは、派遣社員の仕事が全く安定しない。そこで、現行のこのような制度を廃止し、「業務」ではなく「人」単位でのへの制限に切り替えるよう求める。
これが実現すれば、派遣労働者は同じ仕事をこれまでより長く続けられることができ、仕事の経験や知識が今まで以上に深まってキャリアアップに繋がるとのことである。他方、企業としても、3年間働いたところで人を変えれば、派遣を使い続けることができる。
コメント
確かに派遣を使い続けることが可能となって、企業としては人件費の低減を図ることができるが、非正規雇用が固定化がますます加速化することが懸念される。労働者派遣法を巡っては、民主党政権下でも改正がなされ、製造業における派遣の原則禁止などが規定された。このように、同法は変遷が激しく、法の面でも、派遣労働者は不安定な位置に常に立たされている。
労働者の保護をうたって、雇用不安を広げては本末転倒である。今後の法改正の過程を、慎重にみていきたい。
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