「治る」は言い過ぎ?-医療機器製造販売業者に消費者庁立ち入り
2013/04/19 広告法務, 景品表示法, メーカー

事案の概要
頭痛などのを症状を緩和するという医療機器「パワーヘルス」を製造販売する株式会社ヘルスが、「高血圧や糖尿病などさまざまな病気も治る」などと顧客に繰り返し説明していたことを受けて、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)に当たる可能性があるとして、同社営業所などを立入検査した。こうしたいわゆる「セールストーク」について同法を適用し行政処分を科すことになれば、平成21年の消費者庁発足以来初めてになる。
パワーヘルスは1台50万円の「電位治療器」で、本体につないだマット上に寝るなどすると症状が和らぐとされる。電位治療器の販売等に際しては、薬事法に基づき「頭痛、肩こり、不眠症及び慢性便秘の緩解(軽減)」のみ宣伝することができる。
コメント
自社の商品・サービスを売り込もうとして担当者が大げさな表現をしてしまうということは、どの企業においてもありうることである。企業内の法務担当者としては、商品やサービスの性質などを把握すべく商品開発等の他部門と連携を密にするとともに、消費者庁や販売地域の消費生活センターが公開している情報をこまめに収集し、時には問い合わせるなどした上で注意喚起やアドバイスをしていく必要があるだろう。
企業が誇大広告をしたとなれば、企業には社会的地位の失墜という大きな損害が生じる。本件が処分にいたった場合、法務担当者が企業の重要セクションのひとつである営業・広告部門にかかわる必要性はより大きくなると考えられる。顧問弁護士も同様であり、特に特許やテクノロジーに強い者にとっては、大きなビジネスチャンスとなるかもしれない。
参考となる条文
景品表示法4条(不当な表示の禁止)
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
2 内閣総理大臣は、事業者がした表示が前項第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。
関連サイト
消費者庁表示対策課
関係法令や相談事例、企業への命令事例が記載されている。まずはここから。
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