三菱自動車 四度にわたるリコール 国交省が厳重注意
2012/12/20 コンプライアンス, 民法・商法, メーカー

事案の概要
国土交通省は、19日、三菱自動車に対して、リコール(回収、無償修理)への対応が消極的だったこと、同社から国土交通省への報告・説明等が不適切だったことから、口頭で厳重注意をしたと発表した。
三菱自動車は、エンジン部品の不具合により、エンジンオイル漏れや、エンジン停止をまねく恐れがあるとして、19日、軽自動車のリコールを発表した。三菱自動車が19日に発表したリコールの対象は、1996年1月から2004年10月に製造された121万6266台。同社は、今までに同様の理由でリコールを3度行っており、4度にわたる一連のリコールについて、その姿勢や、報告内容が不適切だったとして、国土交通省から厳重注意を受けた。
同省の発表によると、同社が軽自動車のエンジン部品について不具合があるとの情報をはじめて入手したのは、2005年2月。しかし、同社は事実を軽視し、安全性に問題はなく、リコールは不要と判断していた。結局、リコールが実際になされるまでには5年半の月日を要した。その後、この1回目のリコールについて、「対象者の範囲が不十分だ」との内部通報が従業員からなされ、国土交通省の指示を受けて、2回目のリコールがなされた。ところが、再度のリコールに対しても、社内から同様の通報があり、弁護士らで組織された外部有識者委員会を設置して社内調査を行う事態に陥った。そして、12月19日、今回の4回目のリコールを行うに至った。
リコール対象車両の台数は、4回目のものがこれまでで一番多く、リコールに消極的だった姿勢が見て取れる。リコール対象となった車両は、累積して約176万台、リコール費用は75億円と見込まれている。
国土交通省はほかにも不適切な点がないか、近く同社に対して道路運送車両法に基づく立ち入り検査を行うとともに、交通安全環境研究所に依頼して検証を行うとしている。
コメント
企業が消費者に配慮しすぎて、不必要に過大なリコールを行っているとの事例もある昨今において、本件は、従前から多く見られてきた「やるべきリコールを行わなかった」事例の一つである。
三菱自動車は、2000年に大規模なリコール隠しが発覚しており、この不祥事で経営破綻寸前にまで追い込まれた過去がある。にもかかわらず、そのときの反省を活かしきれずに、今回のような事態をまねいたことから、世論の批判は免れえず、経営は苦しくなるだろう。
不祥事が発生した場合には、ただ起きてしまった事実を批判するのではなく、何故起きたのかを検証し、今後の改善につなげることこそ重要である。三菱自動車には、企業モラルも含め、コンプライアンス体制を改善していただきたい。
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