日本郵便「ゆうメール」に対する商標権侵害訴訟が和解、サービス継続へ
2012/09/18 商標関連, 商標法, その他

概要
郵便事業会社(日本郵便)が提供する配達サービス「ゆうメール」の名称等をめぐって、札幌市のダイレクトメール発送会社「札幌メールサービス」が商標権を侵害されたとして、名称の使用の差止めを求める訴訟を提起していたが、この度、知財高裁で和解が成立した。
日本郵便の「ゆうメール」は、書籍、商品カタログ等の冊子になった印刷物や、CD・DVDを配達するサービスである。一方、札幌メールサービスは、「ゆうメール」という同じ名称を使用してダイレクトメールを配達するサービスを提供しており、「各戸に対する広告物の配布など」の分野の商標として「ゆうメール」を特許庁に出願し登録されていた。その後、日本郵便も同じ分野で出願したが、札幌メールサービスが既に出願していたため認められず、「郵便、メッセージの配達など」の分野で登録していた。
第一審(東京地裁)では、日本郵便は、荷物の運送サービスであり、広告物の配布にはあたらないと主張したが、裁判所は、日本郵便が広告物の配送に利用することを宣伝しており、少なくとも類似の関係にあるとして特許侵害を認定。広告物を配達する際の名称の使用中止を命じられる等、日本郵便側が敗訴していた。日本郵便は一審判決を不服として即日控訴していた。
和解内容は、「ゆうメール」の商標権を日本郵便が買い取るものであり、日本郵便は今後も「ゆうメール」の名称を使用して従来と変わらないサービスを提供できるようだ。
コメント
商標権は、登録により発生し、商品または役務を指定して登録される。商標権者は、指定した商品・役務について名称を使用する権利を専有し、指定した商品・役務について類似する商標を使用することや、指定した商品・役務に類似する商品・役務について同じ商標、類似する商標を使用する行為に対して侵害の予防・停止を求めることができる。
日本郵便の「ゆうメール」は、広告物の配達という範囲で、札幌メールサービスが「ゆうメール」として指定した商品と少なくとも類似すると一審で認められ、商標権侵害にあたるとされた。和解では、札幌メールサービスが所有する「ゆうメール」の商標権を買い取ることで、日本郵便は広告物の配達についても「ゆうメール」という名称を使用することができるようになった。利用者の混乱を避けるためにも和解で商標権を買い取ったのは妥当だと思う。
関連コンテンツ
新着情報

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- まとめ
- 11月1日施行、フリーランス新法をおさらい2024.11.11
- フリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆる「フリーランス新法」が11⽉1⽇に施⾏されました...

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階
- セミナー
藤江 大輔 代表弁護士(弁護士法人GVA国際法律事務所/大阪弁護士会所属)
- 【リアル】東南アジア進出の落とし穴とチャンス:スタートアップが知るべき法務のポイント
- 終了
- 2025/03/27
- 16:00~17:30

- ニュース
- コロナ社にカヤバ社、下請業社への金型無償保管で公取委が勧告/23年以降15件目2025.4.28
- 金型保管をめぐる下請法違反の事例が相次いでいます。 暖房機器などの製造・販売を行う「株式...