企業におけるストレスチェック義務まとめ
2016/09/01   労務法務, 労働法全般, その他

 平成27(2015)年に改正された労働安全衛生法により、企業に労働者のストレスチェックをする義務が課せられるようになりました。
 そこで、企業におけるストレスチェック義務をまとめました。


対象

対象となるのは従業員50人以上の事業場です。企業ごとではなく、事業場ごととなります。
また、従業員50人以下の事業場では、当分の間、努力義務となります。

[PDF]厚労省・労働安全衛生法が改正されます


ストレスチェック制度の狙い

 労働者が自分のストレス状況を把握することで、労働者自身がストレスを溜めないように対処することが期待できます。
 労働者がストレスによりメンタル不調となった場合、モチベーションの低下や勤務効率の低下が生じます。労働者の不調は企業としても生産性や業績の低下につながりますので、ストレスチェックをすることでこれらを防ぐことができます。

 ストレスチェック制度は決して「うつ病患者の発見」ではなく、リスク管理の一面であることに意識してください。


ストレスチェック制度の内容

 「国が推奨する57項目の質問票」を労働者に配布し記入してもらうか、「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を実施してもらいます。
 このとき、事業者が実施主体として回収などを行うことはできず、産業医や保健師などが実施・回収を行います。また外部委託をすることもできます。
 なお、事業者は直接結果を知ることはできません。

[PDF]厚労省・ストレスチェックチェック制度簡単導入マニュアル


高ストレス者がいた場合

 ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされた労働者から申出があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施しなければなりません。
 また面接指導を実施した医師から、就業上の措置の必要性の有無とその内容について、意見を聴きそれを踏まえて、労働時間の短縮など必要な措置を実施する必要があります。
 医師からの意見聴取は、面接指導後1月以内に行う必要があります。
 面接指導の結果は事業所で5年間保存する必要があります。 このとき、 記録を作成・保存しなければなりませんが、以下の5要素が含まれていれば、医師からの報告をそのまま保存することもできます。

 1.実施年月日

 2.労働者の氏名

 3.面接指導を行った医師の氏名

 4.労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況

 5.就業上の措置に関する医師の意見

 なお、医師による面接指導等を理由に企業は解雇といった不利益扱いをすることはできません。

厚労省・ストレスチェック指針


費用等について

1.実施費用について
 企業の規模やチェックの媒体(紙/WEB)によって費用が異なるので、あくまで目安となります。

<ストレスチェック>
 紙
  1人あたりの相場が300円~1,000円

 WEB
  1システムあたりの相場が10万円~数百万円
  なお、厚生労働省より無料でプログラムをダウンロードすることができます。

ストレスチェックナビ・ストレスチェックの実施にかかる費用の相場は?
厚労省・厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムダウンロードサイト

<高ストレス者への面接指導>
  労働者1人あたりか、面接の実施日1日あたりかによって異なります。
  1人あたりの相場5,000円~10,000円 
  1日あたりの相場数万円

2.助成金について
 従業員数50人未満の事業場については、助成を受けることができます。
 ストレスチェック(年1回)であれば従業員1人について上限500円として実費額が支給されます。
 ストレスチェック後の面接指導など産業医活動を受けた場合には、産業医活動1回につき上限21,500円(1事業場ごとに年3回まで)として実費額が支給されます。

[PDF]労働者健康安全機構・ストレスチェック実施促進のための助成金のご案内


ストレスチェック義務違反に対する罰則等

 ストレスチェック義務違反そのものに対する罰則規定はありません。
 しかし、場合によっては、安全配慮義務に基づく損害賠償責任を負うことはあります。
 例えば、ストレスチェックをせず労働者のメンタルヘルスに不調が生じた場合、労災認定されることとなります。
このとき、会社は労働者から安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をされることがあります。
 賠償金額はケースによって異なりますが、約1億円に昇ることもあります。
 したがって、企業にはまずストレスチェック制度を社則で定める等の制度構築をすることが求められ、次に損害賠償訴訟を提起されたときに備えて、安全配慮義務を尽くしたことの証拠保全が求められます。判例をもとに考えると、具体的には、休日の取得実績やタイムカードといった勤怠管理結果の保存、ストレス環境からの配置転換実績などが考えられます。

こころの耳・長時間労働からうつ病になり自殺未遂した例
こころの耳・上司の叱責がもとで適応障害になった例
労働契約法・安全配慮義務5条
こころの耳・電通事件

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