ストリートビュー訴訟 控訴審も女性のプライバシー侵害認めず
2012/07/18 訴訟対応, 民事訴訟法, IT
事案の概要
ネット検索サイト大手グーグルの「ストリートビュー」サービスの撮影や写真の公開によってプライバシーを侵害されたとして、福岡市の女性がグーグル日本法人に60万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は13日、女性の控訴を棄却した。
女性は10年3月、当時住んでいた福岡市内のアパートのベランダの画像がストリートビューで公開されていることに気づいた。
女性には強迫性障害と知的障害があり、訴訟において「下着などの洗濯物を撮影され、精神的苦痛を受けて障害が悪化した」と主張していた。
しかし、11年3月の福岡地裁判決は、「公開された画像からは原告個人を特定できない」として、プライバシー侵害には当たらないと判断した。
今回控訴を棄却した控訴審判決は、その判断を支持したものである。
コメント
ネットサービスの利便性向上と個人のプライバシー保護の調整は、現代の高度情報化社会において喫緊の課題である。
同様の問題意識は、平成23年の新司法試験論文式試験(憲法)にも出題された。
同社はプライバシー侵害のおそれのある箇所にモザイクを施す等の対応をしているが、そもそも人によってプライバシー侵害を感じるレベルはまちまちであるので、その基準を一元化することは困難ともいえる。
将来にわたり両者のバランスをどう保つか、今後も議論が尽くされる必要がある。
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