東日本大震災の行方不明者、失踪宣告の手続なしで、死亡届の受理へ
2011/05/27 法務相談一般, 民法・商法, その他

東日本大震災の行方不明者、失踪宣告の手続なしで、死亡届の受理へ
政府は、東日本大震災の行方不明者について、民法上の失踪宣告の手続きを経ずに、市町村が死亡届を受理できる措置をとる方針である。
民法上は、船の沈没・航空機事故等に巻き込まれて遺体を確認できなかった場合、1年間生死不明の状態が続いたことを条件に、失踪宣告が認められ、死亡したものとみなされる。そして、この失踪宣告が認められるには、手続として、家庭裁判所への申立てが必要となる。
一方、戸籍法は、死亡届の添付書類について、やむを得ず診断書などを得られないときは、死亡の事実を証明する書面があれば受理できるとしている。
そこで、東日本大震災の行方不明者については、戸籍法を特例的に活用し、失踪宣告の手続きを経ないでも、震災時の状況や経緯などを記した書面を死亡届に添付すれば、死亡届が受理され死亡が確定する方向となっている。
したがって、震災から1年を待たずに、また家庭裁判所への申立てをしないでも、家族による財産の相続や生命保険の受け取りが可能になる。行方不明者の家族の方が新しい生活を踏み出す一助となることが期待される。
【関連条文】
民法第三十条
1項 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 項 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪の宣告の効力)
民法第三十一条
前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
戸籍法第八十六条
1項 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
2項 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所
二 その他法務省令で定める事項
3項 やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-26-2五反田サンハイツビル2階

- セミナー
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第15回~
- 終了
- 2025/04/23
- 19:00~21:00

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- ニュース
- 最高裁、父親の性的虐待で賠償認めず、民法の除斥期間とは2025.4.23
- 子どもの頃に性的虐待を受けたとして40代の女性が父親に損害賠償を求めていた訴訟で16日、最高裁...