菅首相の置き土産「再生エネルギー関連法案」について考える
2011/08/30 法改正対応, 法改正, その他

概要
菅内閣も総辞職し、新たな内閣が発足する。そこで、菅首相がこだわっていた、「再生エネルギー関連法案」について分析してみたい。
目的
そもそも再生エネルギー法案の具体名は、8月26日午前に成立した、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」である。
これは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(生物資源)の5つの再生可能エネルギーで発電した電力を、一定期間、電力会社に国が決める価格で買い取ることを義務付け、再生エネルギー業界の発展・再生エネルギー利用の
促進を促そうとすることが目的である
詳細
この法案によって、電力会社は、正当な理由がない限り、特定の期間は認定業者が再生エネルギーによって作成した電気の全量買取り契約を拒否できなくなる(4条)
買取にかかる費用は、原則として電気を使う全国民(個人、事業者)が、電気の使用量に応じて負担する。(16条)
また、買取単価や買取期間は、再生可能エネルギー源の種別、設置形態、規模などに応じて、新しく設置される中立的な第三者委員会での議論に基づき、経済産業大臣が決定する。(3条)
すでに小規模な住宅用太陽光発電システムで発電した電気に対しては、固定価格(2011年度は1kWhあたり42円)で10年間の買取を行う「太陽光発電の余剰電力買取制度」が実施されている。
この際の買取に必要な費用は、電気の使用量に応じて全国民が負担している。電力会社から毎月お手元に届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を見れば、すでに「太陽光促進付加金」として課金されているはずだ。
特措法は、この住宅用太陽光だけでなく、買取対象を事業者などが行う大規模な太陽光発電や風力、水力(中小規模)、地熱、バイオマスにも拡大しようというものである。
その他、再生エネルギー業者と認定されるための条件や、膨大な量の電力を使用する鉄鋼や化学の大手事業所などを対象に、負担金を減額するような措置も設けている。
問題点
まず、そもそも価格が高く、通常競争では勝負にならない再生エネルギーを強制契約によって保護するのは特定業界への肩入れではないかという批判がある。
また、買取単価と買取期間も定まっておらず、再生エネルギーの種類や地域によって単価に差が出たり、業者を保護しようとするあまり国民負担が過剰に増加する可能性もある。
さらに、電力使用の大きい事業にとっては、負担削減策はあるものの、やはりコスト負担が障害となる危険性が指摘されている。
感想
大地震・原子力発電所の事故からにわかに議論されて来た再生エネルギー法案だが、やはりコスト面では劣るのが現実か。
とはいえ、法案が成立し、来年から施工されることに決定したのであるから、少しでも問題を解決し、前へ進めてほしい。
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