シンガポールの外国人労働者事情
2015/08/10 海外法務, 海外進出, 外国法, その他

シンガポールは、8月9日で建国50周年を迎え、記念式典が開かれました。そこで今回は、シンガポールの外国人労働者規制について取り上げてみたいと思います。
1外国人労働者受け入れの歴史
シンガポールは、東京23区と同規模の国家でありながら、日本を超える高いGDPを誇っています。そして現在人口は540万人であり、そのうち外国人労働者は4割にものぼっています。
これまでシンガポールは経済成長のために多くの労働者を受け入れて来ましたが、今日では経済が成熟し成長率維持が困難になることが予想され、シンガポール人の職を奪っているとして、外国人労働者の雇用を厳格化して流入を抑制しています。
2外国人受入れ制度の主な枠組み
就労する外国人はほぼ全員、労働許可証又は雇用許可証を申請する必要があり、所得や学歴、出身国等により区別されています。高度技能者向けにはEパス、中度技能者向けにはSパス、低技能者向けにはWPパスがあります。例えば、WPパスについては、家事労働者や建設に従事する労働者がこれにあたり、申請時の年齢が16歳以上、50歳以下で、出身国がマレーシア、香港、マカオ、韓国など12カ国に限定されており、厳格に定められています。
その他の許可証として、個人雇用許可書やワークホリデイ許可書や外国人企業家に適したエントレパスなど様々なものが存在します。
3外国人就業規制
⑴外国人雇用税
外国人雇用税は、外国人労働者を1人雇うごとに雇用主が毎月納める税金で、外国人労働者の人数を管理し、シンガポール人労働者の賃金水準を維持するために導入された価格制度です。税額は業種や熟練労働者かなどにより変わり、250ドルから950ドルとなっています。
⑵保証金
雇用主は、外国人労働者を雇用する際には政府に労働者一人当たりについて保証金を約40万円を納めなければなりません。保証金は、外国人労働者が行方不明になったり、罪を犯したりした場合には没収され、不法残留の抑止や雇用管理の強化となっています。
4最後に
シンガポールの外国人労働者への規制は厳しく、社会保障制度も市民と永住者を対象としており、永住者以外の外国人は対象外となっていることから、Eパスを持っている人でも保障をうけることができません。シンガポールで働くことを希望している方は、取得したい在留許可証の要件を満たすか確認し、医療保険等各種の保険への加入をするなど、事前の準備が必要となりそうです。
お役立ちサイト
シンガポール政府 http://www.mom.gov.sg
外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
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