2025年の合同会社の倒産数374件で増加率5.6%
2026/01/13 商事法務, 事業再生・倒産, 倒産法, 会社法

はじめに
2025年1~11月の合同会社の倒産件数が374件で、増加率は5.6%であったことがわかりました。業歴別では5年未満が35.8%で、株式会社の3.5倍とのことです。
事案の概要
東京商工リサーチの報道によりますと、2024年の新設法人15万3938社のうち、その約3割にあたる4万2107社が合同会社だったとされます。これは近年の日本の開業率を合同会社が下支えしていたと言えます。
しかし、2025年1~11月の合同会社の倒産件数は374件で増加率は5.6%、全体の増加率2.2%を上回る水準となっており、そのうち業歴5年未満が134件で35.8%と、株式会社に比較して3.5倍に達していたとのことです。
倒産の原因別では事業上の失敗が20.9%と株式会社と大差がないものの、販売不振は67.9%で株式会社の59.5%を8.4ポイント上回っていたとされています。安易な見込みで設立したが、計画通りに事業が軌道に乗らず破綻する件数が多いのではないかと指摘されています。
会社の種類
日本に存在する会社の大半は株式会社と言えますが、会社法等の法令上、それ以外にもいくつかの会社形態が存在します。それが持分会社と特例有限会社です。
政府の統計によると、2023年時点で株式会社は全体の77.86%、特例有限会社は12.89%、持分会社は約9%と、圧倒的に株式会社が大多数を占めています。
ここで株式会社とは、会社の実質的所有者である社員たる地位が細分化された株式という形で出資者に発行され、その保有割合で会社に対する権限が決まる会社形態を言います。
原則として会社の所有と経営が分離しており、経営は取締役が担当し、株主は出資以上の責任を負わないのが特徴です。
これに対して持分会社とは、原則として出資者と経営者が一致しており、会社内での決定権はその出資額に依存することとなります。
株式会社と異なり、比較的小規模な会社が想定されていると言えます。
現行会社法上、持分会社は合名会社、合資会社、合同会社の3つの種類が存在します。そして特例有限会社とは、かつて有限会社と呼ばれていた会社を言います。
商法の平成17年改正時に有限会社法も廃止となり、以降有限会社は設立することができなくなりました。
その時点で存在している有限会社は現行会社法上は株式会社として扱われることとなります。そのため、株式が発行でき、最高意思決定機関は株主総会となっています。
一方で、取締役会を設置できず、公開会社となることもできないなど、通常の株式会社と異なる点も存在します。
合同会社とは
上でも触れたように、合同会社は合名会社や合資会社と同様に持分会社の1種です。
合同会社は平成17年の会社法制定の際に導入された会社形態で、アメリカのLLCがモデルになっていると言われています。
合同会社は他の持分会社と異なり、出資者の責任は間接有限責任となっています。
一方、合名会社は出資者全員が無限責任を負っており、会社の債務について私財を投じても弁済する責任があります。また、合資会社は無限責任を負う社員と有限責任を負う社員の両方が存在する会社です。
このように、合同会社の出資者は株式会社と同様に「間接有限責任」に留まるため、出資した額を超えて責任を負うことはないとされています。
そのためもあってか、合同会社はスタートアップ企業やIT企業、小規模な小売業、飲食店やコンサルティング業、フリーランスの共同事業などでよく利用される会社形態となっています。
合同会社のメリット・デメリット
合同会社のメリットとしては、設立費用やランニングコストが低いこと、経営体制が柔軟であること、利益配分の自由度が高いこと、役職の任期がないことなどが挙げられています。
まず、合同会社は設立の際の登録免許税も最低6万円(株式会社は15万円)と安くなっており、また株式会社と異なって原始定款に公証人の認証(認証料5万円)も不要です。
また、株式会社では決算期ごとに決算公告(官報の場合約8万円)が必要ですが、合同会社ではこれも不要です。
役員についても、株式会社では任期(取締役の場合原則2年)があり、交代した場合や交代しなくても重任の場合にはその旨の登記が必要となりますが、合同会社には任期はありません。そして、利益配当についても株式会社では厳格な規制が設けられていますが、合同会社にはそのような制限はなく、出資額にとらわれることなく貢献度で配当額を決定することも可能です。
一方で、デメリットとしては信用力の低さ、資金調達のしにくさ、株式市場への上場ができないことなどが挙げられます。
具体的には、「合同会社」は日本では比較的新しい会社形態であり知名度が低く、社会的信用力の点で株式会社に劣ると言われています。
また、株式会社のように株式を発行することができないことから、資金調達が困難とされています。
コメント
上述のように、合同会社は設立コストやランニングコストが軽く、出資者の責任も有限責任となっていることから、スタートアップや小規模なIT企業などで利用しやすく、近年新たに設立された会社のうち約3割が合同会社と言われています。
しかし、一方で合同会社は知名度も高くなく、また決算公告義務がないなど情報公開性が低く、金融機関などからの与信判断でも有利とは言えないのが現状と考えられます。
このように、現行会社法上は株式会社以外にも合名会社や合資会社、合同会社といった会社形態が用意されています。
それぞれに経営規模や出資者の関与、責任態様、必要な手続きや税制が異なっており、メリットとデメリットが存在します。そして、これらの会社は相互に組織変更することによって転換することも可能です。
予定している事業の規模やコスト、将来性などを考慮して、適切な会社形態を模索していくことが重要と言えるでしょう。
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