オークファンの連結子会社で不適切会計疑惑、特別調査委員会の設置を発表
2022/11/01

はじめに
株式会社オークファン(東証グロース上場中)は、2022年10月21日、同社の連結完全子会社である株式会社SynaBiz(以下「SynaBiz」)において、2022年9月期を含む複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていた疑念があるとして、外部の専門家による特別調査委員会を設置することを公表しました。あわせて、2022年9月期決算発表の延期も表明しています。本記事では、オークファンにおける同委員会設置の経緯について振り返ります。
SynaBizにおける不適切会計疑惑
今回問題となった株式会社SynaBizは、ネット卸のBtoBプラットフォーム「NETSEA」を運営する会社です。もともと、オークファンが運営する商品及び価格情報の比較・検索・分析メディア「aucfan.com」のユーザーには、ネット売買を副業や個人事業主として事業化したいというニーズを持つ人が多かったといいます。その一方で、ネット売買での事業化を目指すうえでは、多くの人が“優良な仕入れ先の開拓”という課題に直面します。こうした背景があり、オークファンは、SynaBizが運営する「NETSEA」と連携することにより、「aucfan.com」のユーザーの業務支援を提供していました。
発表によりますと、オークファンは2022年7月31日から現在に至るまでの外部機関によるヒアリング調査に対応する中で、SynaBizの過去の商品販売委託取引において不適切なものがないか社内調査を実施していたといいます。そして、当該調査の過程で、SynaBizにおいて複数事業年度(2022年9月期を含む)に渡って実在性に疑念がある商品販売委託取引等との不適切な会計処理が行われていた疑念が生じたとされています。
現時点では不適切な商品取引の規模は把握できていないとのことで、本件に関与した人数・役員の関与の有無についても明らかにするため、特別調査委員会の設置を決定したとのことです。なお、同委員会は、オークファンとは利害関係を有しない外部の弁護士・公認会計士で構成されるととしています。
【調査事項】
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オークファン株価の急落
今回の発表を受けて、オークファンの株価が急落しています。10月21日時点で478円だった株価が、10月28日現在の終値が371円と上場来安値を更新しています。投資家からの信用を一気に失った形になります。
ちなみに、オークファンは、当時の会計監査人である有限責任あずさ監査法人との監査及び四半期レビュー契約を合意解除した2016年10月にも、株価が急落しています。当時、解除に合意したあずさ監査法人が、
・オークファンに対し、追加的な監査手続の必要性を感じてその実施を申し入れたものの、会社の十分な対応が得られなかった。
・2016年10月7日に、オークファンより、「これ以上、あずさ監査法人との監査契約を継続することが困難である」として合意解除の申し入れがあった。
・あずさ監査法人としても、オークファンから監査業務への理解を得ることができない以上、監査契約を継続させることは困難と判断した。
旨の見解を発表したことから、先行きの不透明感が台頭。投資家からオークファンに疑念が生じ、株価急落、ストップ安となる事態を迎えました。
【参考】会計監査人の異動および一時会計監査人の選任に関するお知らせ 平成28年10月14日(株式会社オークファン)
2022年9月期決算発表の延期
SynaBizの不適切会計疑惑に対し、特別調査委員会による実態解明が進められる中、オークファンは調査に全面的に協力するとしています。その一方で、事実関係の調査及び決算数値の確定作業には一定の時間が必要であること、現時点で調査期間を見込むことは困難であることなどから、2022年9月期決算発表を延期する旨を発表しています。
オークファン側は2022年9月期決算発表の具体的な開示時期は現時点で未定であるとしており、確定し次第再度文書で公表するとのことです。なお、2022年9月期の連結業績予想については、今回未定としています。
コメント
上述のように、オークファンは、特別調査委員会を設置し、会社から独立した第三者である専門家に調査を依頼することにより、投資家等からの信頼回復を図っています。しかし、会計面での不透明さに対する疑念を向けられるのは、2016年に続き二度目となるため、信頼回復の道のりは困難を極めると予想されます。今後のオークファンの対応に着目しましょう。
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