職場に求める働きやすさ、男女間で明らかな意識の違い
2011/06/28 労務法務, 労働法全般, その他

働きやすさ、男女間で意識の違い
連合(日本労働組合総連合会)は、就業経験のある18歳~59歳の男女1000人を対象に労働環境に対する意識調査を行った。
《働き続けるために必要と思う支援・環境》という質問については、男女ともに「仕事のやりがい」が最多であった。しかし、女性の19%が「配偶者の協力」や「育児と仕事を両立できる雰囲気があること」と回答しているのに対して、同項目での男性の回答率は7.6%及び4.8%にとどまり、男女間で大きな意識の違いがでている。また、離職経験のある男女に聞いた《仕事をやめたきっかけ》については、結婚、育児、出産、子育が女性の離職原因の約64%を占めており、同結果は結婚、出産後の女性が継続して働くことの難しさを示している。
さらに、結婚、育児、介護等で《職場で不利益な扱いを受けたか》という質問には、産休や育児に対して約1割前後が不利益を受けたと回答しており、育児介護休業法などに抵触している実態が明らかになった。
* 育児介護休業法は、原則として子供が1歳(一定の場合は1歳6か月)になるまで育児休業を取得することを認めている(同法5条)。また、使用者は対象となる労働者からの育児休業の申し出を拒むことはできない(同法6条)。
なぜ改善しない、働く女性支援
今回の調査結果は、女性が仕事と結婚・育児等を両立することが難しいという実態を改めて浮き彫りにした。その原因は、未だに男女間の役割意識が根強く残っていることにあると考えられる。今回の調査結果で、女性に比べて、「配偶者の協力」や「育児と仕事の両立」を働きやすさの条件とする男性の割合が低いのは、男性は仕事を優先し、女性が出産・育児を優先するという意識の存在をうかがわせる。また、そういった働く女性への未熟な理解が育児介護休業法違反等の違法実態を生み出していると考えられる。
状況改善への途
女性にとっての働きやすさは何も女性だけの問題ではない。女性の働きやすい環境が、同僚や配偶者である男性の協力を必要とするならば、女性の職場での権利向上は男性の権利向上とともに行わなければ意味がない。例えば、育児介護休業法上は女性だけでなく男性も育児休業が取得できるが、それを実際の現場でを積極的に認めていくことが大事である。また、先日、厚生労働省がセクハラの労災認定基準の見直す方針を示したが、今回の連合の調査によると、パワハラ被害を受けたことのある男性は24.4%にものぼるという。パワハラ救済の途も今後一層広げていく必要がある。
労働環境に関する問題は、男女共に抱える問題であるという共通の認識を持ち、双方に目を向けた改善策を講じていくことが大切である。
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