海外から配信の電子書籍に課税を要望
2013/09/10 税務法務, 租税法, 税法, その他
事案の概要
文字・活字文化推進機構、日本出版インフラセンター、日本書籍出版協会などの9団体は海外から電子書籍を配信する事業者に対しても、消費税の課税をすることを求める要望書を政府の税制調査会に提出する見込みである。
現在、海外に配信元がある電子書籍の配信事業者は日本国内で電子書籍を販売しても消費税の課税対象とはならない。
そのことにより、国内に配信元を有する電子書籍販売事業者との間に消費税分の販売価格差が生じることとなり、公正な競争が阻害されている。
そこで、出版業界の9団体は、政府の税制調査会に対して、当該格差を是正するよう消費課税に関する法改正などを求めることとした。
コメント
消費税は、国内で消費されるサービスに対して課税され、海外からのサービス提供にはまだ日本の消費税は課税されないことになっている。
したがって、消費税法においてはデジタル商品等(音楽コンテンツ等含む)のネット配信サービスの取引は、原則サービス配信地での課税となとなり、日本国内で販売されても消費税の課税対象とはならず、国内外の電子書籍取引業者間に販売価格上の不公平が生じる。
今後消費税が8%に上昇すれば、その格差は更に大きくなる。この状況が続けば国内の電子書籍業者も海外に移転していく可能性が高くなる。今回の要望はこれを食い止める意味も含まれている。
ただ、消費税の課税は簡単なものとはいえない。
まず、海外の配信業者の国内販売をいかに把握するかである。この点については、EUでも導入されているインボイス方式を採用し国内の取引を把握するという案もある。
次に、海外に拠点を持つ事業者に対していかに納税させるかである。現在、海外の事業者が納税するには、納税管理人を届け出る義務があり、この者を通じて行うことになる。
その場合、海外の事業者登録を義務付ける等、これを確実に行わせるための制度も必要となると考えられる。
いずれにしても、海外から電子書籍を配信する事業者に対する消費税の課税については、単に課税対象者に加えるだけでなく、それを実現する手段も検討する必要がある。
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