加工食品の原料原産地表示が変わります!
2017/10/24 コンプライアンス, 法改正
1.はじめに
二ヶ月ほど前、8月15日に「全加工食品の原産国表示へ、食品表示基準改正への動き」という記事でもお伝えしましたが、9月1日に新たな加工食品の原料原産地表示制度を定めた食品表示基準の一部を改正する内閣府令が公布・施行されました。原料原産地表示を商品を選択する際の基準のひとつとしている消費者が多いことから、そうした要求に応えるべく改正されたものです。表示基準に従わなかった場合には、内閣総理大臣や農林水産大臣からの指示や措置命令等を受ける可能性があり、措置命令に従わない場合には、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(食品表示法6条1項、5項、20条)を科せられる可能性があります。また、虚偽の表示がなされた食品を販売した場合についても「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」(同法19条)という厳しい罰則が規定されています。そこで、食品の製造や販売をおこなう会社の法務担当者としては、改正の内容を押さえ、表示基準にしたがった表示を行うよう促してゆく必要があります。
以下では、8月にお伝えした内容からさらに一歩踏み込んで、簡潔に改正のポイントをまとめたいと思います。
<関連>
「全加工食品の原産国表示へ、食品表示基準改正への動き」(過去記事)
2-1.表示が義務付けられる加工食品の拡大
対象となる加工食品が品目ごとに拡大され、国内で製造又は加工された全ての加工食品が対象になりました。
ただし、外食として加工食品を消費者に提供するような場合には、表示を要しないとされています。また、パッケージの表示可能面積が約30㎠以下の場合には、表示を省略することができるとされています。表示をするスペースが足りないことに配慮したものと考えられます。
2-2.対象原材料の拡大
改正前は、
① 改正前の別表第15の1から22までに掲げる加工食品(例:牛豚合挽肉)にあっては、製品に占める重量の割合が50%以上である原材料
② 改正前の別表第15の23から26までに掲げる加工食品(例:農産物漬物)にあっては、原産地表示対象の原材料※
について、表示が義務付けられていました。
※(消費者庁発表資料「食品表示基準一部改正のポイント」平成29年9月、より引用)
改正後は、重量割合が第一位の原材料は重量の50%未満であっても原料原産地表示の対象となります。
2-3.新たな表示方法の追加
基本的には改正前の表示方法と同様です。対象原材料の産地について、国別に重量割合の高いものから順に国名を表示することとされています。
ただし、例外として、以下の4つの場合が定められています。この例外は、気候等の事情により原材料の調達原産地を変更する必要が生じる場合を考慮して、事業者のために設けられたものです。
①対象原材料が加工食品である場合には、中間加工原材料の「製造地」を表示することができます。
②原産国が3カ国以上ある場合には、3カ国目以降を「その他」と表示できます。
③国別重量順表示が難しい場合には、一定の条件の下、「又は」という表示も認められます。一定の条件というのは、製造年からさかのぼって3年以内の中で1年以上当該産地の使用実績があることです。
④3カ国以上の外国産の原材料が使用され、かつ、その産地の重量順位が変動するような場合には「輸入」という大括りの表示も認められます。
3.おわりに
消費者の要求に答えるべく、表示の対象は大幅に拡大されています。「はじめに」でも示した通り、罰則の対象となる重要な変更です。移行期限は2022年3月末と定められており、今から4年以上あります。表示の変更に伴い商品パッケージの変更が必要となるため、早め早めの対応が求められます。消費者庁が事業者向けに開催した説明会等の資料を活用しながら、自社の商品について変更が必要とならないかを確認してみてください。
<参考資料>
「(PDFファイル)食品表示基準の一部を改正する内閣府令新旧対照条文」(消費者庁)
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