法務パーソンが苦手な“面接質問”とその対策(1)

 
 

こんにちは。法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。今日は、普段、求職者の方からいただく面接フィードバックを踏まえ、多くの法務パーソンが苦手とする面接質問への対策をご紹介します。本日ピックアップする質問は以下です。

 

 

1.質問の意図

法務パーソンと仕事上の接点が多い事業部担当者ですが、

・備えている専門知識の違い
・仕事上のスタンスの違い
・人物特性の違い

などから、両者の間でコミュニケーション不良が生じるケースが少なくありません。

こうした事業部担当者とのコミュニケーション問題に対しては、既に、いくつかの代表的なトピックスがあり、この質問を通じて、当該トピックスに対する応募者のスタンスを確認する意図があります。

 

2.事業部担当者とのコミュニケーションに関するトピックス

(1) 正確性重視で専門用語を使用すべきか、理解促進重視で平易な用語を使用すべきか
(2) 法的観点とビジネス的観点のバランスをどのように取るか
(3) ノーを伝えねばならないときにどう伝えるか

 

3.回答の方向性

上記(1)~(3)のいずれかのトピックス(複数も可)を念頭に、ご自身の価値観を伝えるのが有効です。一方で、これらのトピックスに対しては、皆さま、概ね同じような方向性で回答を行うため、ともすると、正解をなぞっているような印象を与えやすいのがネックです。

すなわち、(1)については「平易な用語を使用」、(2)については「ビジネス的観点重視」、(3)ついては「単にノーと言わず代案を出す」といった方向性です。

 

しかし、必ずしも常に平易な用語を使用した方がいいわけではないですし、ビジネス的観点のみが勝って、法的観点がおろそかになるのでは本末転倒です。ノーを伝えるときに、ただ代案を出しさえすれば、コミュニケーションが円滑に進むわけでもありません。

 

その意味では、
・「何を考慮要素に、平易な用語と専門用語を使い分けるのか」、
・「ビジネス的観点を重視するシーンと法的観点を重視するシーンの使い分けの基準」
・「代案を作る際、何に注意して代案を作り、それをどのように伝えるのか」

といった点について、事前に考え、それを元に、ご自身の判断基準を明快に示すことが重要になります。

 
 

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【回答の一例】
重要な内容は、出来るだけ正確に伝えたいという想いもあり、どうしても法律専門用語をそのまま使いたくなるところがあるのですが、そもそも、「話のニュアンスすら理解できない」となると、聞き手も話を聞くモチベーションが保てなくなると思いますので、まずは、ニュアンスを伝えることを重視して、出来る限り平易な言葉を使うようにしています。

よく、「中学生に説明してもわかるように」という言い方がありますが、中学生とはいかないまでも、高校3年生くらいがわかる用語を使うイメージです。

一方で、多少、専門知識を有している方には、あまりに平易な言葉を用いると、子供扱いされているように感じられてしまうおそれがありますので、少し、専門的な言葉を織り交ぜることもあります。

いずれにせよ、聞き手の頭の中で何が起きているかを常に想像しながら話すことを大事にしています。

 

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既に転職活動中の方も、そうでない方も、ぜひ常日頃から、こうしたテーマについて、ご自身の考えを言語化する準備をしてみてください。

 
株式会社パソナ
法務専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務職専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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