【法務NAVIまとめ】反社会的勢力排除体制の構築について

記事「【法務NAVIまとめ】反社会的勢力排除体制の構築について」のイメージ

政府からの取組み

2007年6月に、政府は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」を発表した。この指針および解説では、暴力団など反社会的勢力との一切の関係を遮断する必要性を主張しており、企業には反社会的勢力との関係遮断をリスク管理の仕組みとして内部統制システムの中に構築することを求めている。
指針および解説に法的拘束力はないが、反社会的勢力との関係遮断の体制が不十分で会社に損害が生じた場合には、取締役に善管注意義務違反があったとして、会社に対し損害賠償責任を負う可能性がある。

《参考》
企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針
企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説
(出典:法務省)

また2011年には暴力団排除条例が全国施行されるなど、反社会的勢力排除に向けた動きは加速している。
この条例により、企業は、相手方が暴力団関係者でないことを確認する努力義務、暴排条項を導入する努力義務を負うことになった。また、事業者が暴力団関係者に対し利益供与を行うことは禁止され、罰則も科せられるようになった。

《参考》
「東京都暴力団排除条例」について
(出典:警視庁)

企業のリスクとその対応

現状で、企業が反社会的勢力と取引をした場合、以下のようなリスクが考えられる。
・レピュテーションリスク(評判が下がること)
・取引先との関係が拒絶されるリスク
・金融機関からの一括請求・融資の拒否がなされるリスク

《参考》
反社会的勢力と取引をした場合のリスク及びその対応
(出典:LM法律事務所)

そのため現在では、企業が自らの取引先に問題がないか属性チェックをするなど、自律的に確認していくことは常識となっている。
具体的に、反社会的勢力の関係遮断のために企業が講じる対策には以下のようなものがある。

・取締役会で基本方針を決議し、社内トップが宣言すること。
・反社会的勢力対応部署を整備し、ヒアリング等を行うこと。
・反社会的勢力に関連する社内規程やマニュアルを整備すること。
・取引相手が反社会的勢力であるかないかを判断するための審査体制を構築すること。
・審査を適切に行うための情報収集体制および反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築すること。
・契約書や取引約款に反社会的勢力排除条項を導入すること。
・反社会的勢力のリスクに関する研修・教育を実施すること。
・警察,暴力追放運動推進センター,弁護士等の外部専門機関との連携を強化すること。
・整備した体制が機能しているかチェックを行うこと。

その中でも、取引相手が反社会的勢力でないかチェックすること(反社チェック)、またそのためのデータベース作りは不可欠なものである。商業登記簿謄本を取得するなどして把握した「現在の商号と役員(取締役・監査役)」について、過去の記事の検索や専門会社の公知情報データベースに照合して該当事項がないかを確認するのが一般的である。ただし、検索でチェックするだけでは不十分であり、様々な情報を集約しチェックを行う体制を企業内に形作ることが必要である。場合によっては専門の業者や弁護士と相談して体制を作ることも有用である。

《参考》
国内外の反社会的勢力のチェック方法。
(出典:NAVERまとめ)
反社チェックのポイント
反社会的勢力排除条項
反社会的勢力への対応要領
排除実務の基本
(出典:ビジプラ)

企業の対応例

また他社企業の取組みを参考にして自社の規定を整えることも可能である。

《参考》
「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」
(出典:株式会社エス・ピー・ネットワーク)

体制を作った際は、コーポレート・ガバナンスの欄などにどのような取組みを行っているかまとめてホームページ上で公開している企業が多い。

《参考》
大和証券グループ本社
株式会社ジャフコ

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約2年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] NR

詳細情報はありません。

※記事コンテンツを掲載したい方は、コチラ

このニュースに関連するセミナー

法務NAVIまとめ
【名古屋】AIに関する法律問題《ITビジネス法務勉強会:第3回》
2018年08月09日(木)
15:00 ~ 17:00
3,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
和田 圭介 杉谷 聡
■和田 圭介
略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
2008年 フランス系ラグジュアリーブランド日本支社(出向)
2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
2010年 クリフォードチャンス香港オフィス(出向)
2011年 日系の大手財閥系総合商社のイギリス子会社の法務部(出向)
2013年 ニューヨーク州弁護士登録
2015年 IBS法律事務所開設(愛知県弁護士会に登録換え)
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

■杉谷 聡
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高等学校卒業
2016年 一橋大学法学部卒業
2017年 弁護士登録(70期 愛知県弁護士会)
オリンピア法律事務所入所
ITに関する法律を学び、ビジネスに活かしていただくためのITビジネス法務セミナーです。第3回目のテーマはAIに関する法律問題です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
法務NAVIまとめ
【名古屋】誹謗中傷記事・炎上対策《ITビジネス法務勉強会:第4回》
2018年09月06日(木)
15:00 ~ 17:00
3,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
田代 洋介
略歴:
愛知県名古屋市出身
2010年 静岡大学人文学部法学科卒業
2013年 南山大学法科大学院法務研究科修了
2014年 弁護士登録(67期 愛知県弁護士会)
川上・原法律事務所入所
2017年 オリンピア法律事務所 アソシエイト
ITに関する法律を学び、ビジネスに活かしていただくためのITビジネス法務セミナーです。第4回目のテーマは誹謗中傷記事・炎上対策です。
申込・詳細はコチラ
法務NAVIまとめ
【名古屋】情報セキュリティ対策《ITビジネス法務勉強会:第5回》
2018年10月18日(木)
15:00 ~ 17:00
3,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
田代 洋介
略歴:
愛知県名古屋市出身
2010年 静岡大学人文学部法学科卒業
2013年 南山大学法科大学院法務研究科修了
2014年 弁護士登録(67期 愛知県弁護士会)
川上・原法律事務所入所
2017年 オリンピア法律事務所 アソシエイト
ITに関する法律を学び、ビジネスに活かしていただくためのITビジネス法務セミナーです。第5回目のテーマは情報セキュリティ対策です。
申込・詳細はコチラ
法務NAVIまとめ
【名古屋】自動運転技術に関する法律問題《ITビジネス法務勉強会:第6回》
2018年11月22日(木)
15:00 ~ 17:00
3,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
和田 圭介 杉谷 聡
■和田 圭介
略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
2008年 フランス系ラグジュアリーブランド日本支社(出向)
2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
2010年 クリフォードチャンス香港オフィス(出向)
2011年 日系の大手財閥系総合商社のイギリス子会社の法務部(出向)
2013年 ニューヨーク州弁護士登録
2015年 IBS法律事務所開設(愛知県弁護士会に登録換え)
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

■杉谷 聡
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高等学校卒業
2016年 一橋大学法学部卒業
2017年 弁護士登録(70期 愛知県弁護士会)
オリンピア法律事務所入所
ITに関する法律を学び、ビジネスに活かしていただくためのITビジネス法務セミナーです。第6回目のテーマは自動運転技術に関する法律問題です。
申込・詳細はコチラ
法務NAVIまとめ
《渋谷開催》データの利用に関する最近の法令と契約実務
2018年9月10日(月) 15:00~17:20(14:40開場)
10,000円(1名様)
東京都渋谷区
講師情報
岡 伸夫
1992年 京都大学法学部卒業
1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
IoT技術の進展にともない、公開・非公開のデータの収集・解析と派生データの活用が盛んに行われることが今後予想されます。
他方で多額の費用と労力をかけて有用なデータベースを構築し、営業秘密でない形でサイトやアプリでユーザーに提供している会社においては、
競業他社による目的外利用を予防し、侵害を受けた場合に権利主張していく方法を検討・確保することが重要になってきます。
このセミナーでは、データの利用に関する最近の法改正の紹介と共に、これらを背景にデータ提供に関する約定、提携先との契約において
留意しなければならないポイントを説明いたします。
申込・詳細はコチラ
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ

あわせて抑えておきたい関連記事

労働組合法における「不利益取扱い」まとめ... ・はじめに 先日、小学校で英語指導助手をしていたオーストラリア人の英語教師が卒業式への出席を拒否されました。それに対し労働組合が、小学校による拒否行為は不当労働行為にあたるとして、大阪府の労働委員会に申し立てたところ、労働委員会は市に謝罪文を手渡すように命令しました。この外国人教師は、労働環境...
【法務NAVIまとめ】サイバー攻撃対策についてのまとめ... 企業のサイバー攻撃対策の基本 1.はじめに  メールやサイトを開くことでウイルスに感染させ、企業へダメージを当てるサイバー攻撃。国内では日本年金機構が125万件の個人情報を流出した事件などが記憶に新しい。 ◆日本年金機構情報漏洩事件 ◆日本年金機構情報漏洩事件の報告(簡易版) ◆日本年金機構...
役員・従業員の引き抜きを防止するにはまとめ... はじめに  ドイツのアウディは11月24日、技術開発部門の取締役に、ピーター・メルテンス氏を起用すると発表しました。 ピーター・メルテンス氏は、最近までアウディと競合するスウェーデンの高級車メーカー、ボルボカーズの研究開発担当の上級副社長を務めていました。  このように、優秀な人材を集めるた...