JR制服で談合か!?発注方法悪用か

事案の概要

 公正取引委員会は13日、JR東日本と西日本が発注する従業員の制服の納入で談合を繰り返していたとして三越伊勢丹、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武など百貨店3社と大手商社の伊藤忠商事など計9社に対して立ち入り検査に入った。談合の実態解明を進める方針。
 今回、JR東日本と西日本は指定した複数の業者から見積もりを提出させ、価格などから契約を結ぶ「見積もり合わせ」という方法で業者を選定していたところ、各社はJRが見積もり合わせをする前に話し合いで受注業者を決める談合を行っていたことが「不当な取引制限」に該当し独占禁止法2条6項へ違反した疑いがある。そこで見積もり合わせと過去の事例について見ていきたい。

見積もり合わせとは

 見積もり合わせとは、発注者が複数の業者から見積もりを提出させ、価格や技術内容などから業者を比較し、最も条件に合う業者に受注することである。
 国・地方公共団体が見積もり合わせで受注業者を選び契約するときは随意契約になる。随意契約とは競争入札によらずに任意で決定した相手と契約を締結する契約である。
 もっとも、国・地方公共団体が行う契約は入札によることが原則であり、随意契約は法令の規定によって認められた場合にのみ行うことが出来る。
 独禁法2条6項で禁止される「不当な取引制限」とは、①事業者が、他の事業者と共同して・・・②相互にその事業活動を拘 束し、又は遂行することにより、③公共の利益に反して、④一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
 ①は複数の事業者間に明示又は黙示の意思の連絡があることを要する。②は事業者間において共通の拘束内容を相互に課すこと、③自由競争経済秩序に反すること、④競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団が、その意思である程度自由に価格、品質、数量、その他の各般の条件を左右することによって市場を支配することである。
 本件では各社が行った話し合いが、意思の連絡に基づき、相互にそれぞれの見積もり額を決め、一定の事業者に受注させるという事業活動を拘束することにより、JRが指名見積もり合わせの方法により発注するJRの制服納入の取引分野における受注予定者及び受注価格を支配できる力を形成することになり、自由競争経済秩序に反し、不当な取引制限にあたる可能性があるとされた。

過去の指名見積もり合わせによる事例の一例

1 ハードディスクの中にある磁気ヘッドを支える「アーム」と呼ばれる部品を日米の企業に納入しており、数年前から見積もり合わせなどで事前に契約業者を決めたり、納入価格を不正に引き上げるカルテルを結んだりしていた独占禁止法違反の疑いがある事例。
2 自動車用ワイヤーハーネス及び同関連製品 の見積り合わせの参加業者らに対し課徴金納付命令129億円の事例
3 東京電力が発注した保安通信設備の納入で、数社を指名して見積もりをとり、価格や技術内容をみる「見積もり合わせ」で受注業者を決めていた。指名された各社は過去の受注実績をふまえて売り上げが均等になるよう、事前に話し合って受注業者を決めていたところ、課徴金納付命令計約4億円の事例
4 中部電力が発注する保安通信設備の納入で、指名見積もり合わせに際し、事前に受注業者を決めていたとみられることに関し独占禁止法違反の疑い。

立入検査をされてしまった場合

 公正取引委員会のガイドラインによれば、立ち入り検査をされてしまった場合は過去にまとめてあるのでこちらを参照いただきたい。公正取引委員会の立ち入り検査が入ったら

コメント

 競争関係にある事業者間で受注予定者を決定する行為で独禁法違反になるものとして、公取委が措置をとってきたのは、公共調達における入札談合が大きい割合を占めていますが、近年では民間事業者が発注する物品などで価格や受注予定者についての受注を調整することにも措置をとることが見られるようになりました。
 独占禁止法で不当な取引制限を禁止しているのは、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としているからです。本来競争関係にある事業者が協定や共同行為をすると自由競争でなくなり、一般消費者の利益を害することは発注者が公共でも民間でも変わりありません。
 内閣官房等が少額の随意契約に関しては、競争性や透明性を考慮したオープンカウンター方式(発注者が見積り相手を特定せず、調達内容・数等 を公示し、参加を希望する者から広く見積書の提出を募る方式)積極的に活用して多数の者に競争参 加の機会を広げるとしています。高額の契約に関しても競争性や透明性が考慮された制度が広がっていけばよいと思います。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年1ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] ntakahashi

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