K-1の開催から考える自粛要請と今後

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1.はじめに

2020年3月22日、キックボクシング団体「K-1」のイベントが開催されました。このイベントは、新型コロナウイルスの感染が拡大している最中であったこともあり、西村経済再生担当大臣の要請をうけて、埼玉県から開催を自粛するよう求められている中での開催でした。この件を巡っては、賛否両論が取りざたされています。また、開催する側としても、興行収入などとの兼ね合いを検討したことかと思われます。大規模イベントの開催については政府が自粛要請をしていることや、今回の件を機にイベント開催について報道で注目されていることからも、今後社内外でイベントを開催する場合には、慎重に対応を検討する必要に迫られるでしょう。そこで、この「K-1」のイベントを題材として、政府による自粛要請の意味や、今月14日に可決された改正新型インフルエンザ対策特別措置法にも触れながら、今後のイベントの開催の在り方を検討していきたいと思います。
※参照:
自粛要請もK-1開催 主催者「最大限の対応策とり決定」(NHKニュースオンライン)
K-1開催、SNS上で批判集まる 「国の対策不十分」と一部理解も 新型コロナ(毎日新聞)

2.自粛要請の法的拘束力

2020年2月26日、政府は全国的なスポーツ、文化イベント等についての中止、延期又は規模縮小等の対応を要請しました。3月20日には、感染対策の例を参考にしながら、全国規模の大規模イベントの開催について判断するよう求めています。しかし、これらの自粛要請などについては、法的拘束力はありません。あくまでも、国側からの「お願い」にすぎないという位置づけです。そのため、今回の「K-1」の件のように、国や地方自治体からの自粛要請に従わなかったとしても、強制力があるわけではないので、なんらの法的な制裁を受けることはありません。
※参照:
イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ(厚生労働省)

3.改正特措法について

前述したように、現状においては、自粛要請などには法的拘束力はありません。しかし、新型コロナウイルスを対象に加えた改正新型インフルエンザ対策特別措置法が3月14日に施行されました。この改正特措法に基づき、緊急事態宣言が発令されると、政府は私権を制限することができます。例えば、大規模イベントの開催の中止を要請し、主催者がそれに従わない場合にはイベントの停止に必要な措置をとることも可能となります。そして、措置をとった旨が公表されます(新型インフルエンザ等対策特別措置法45条2項~4項)。
※参考:
新型コロナウイルス対策の改正特措法が成立…緊急事態宣言が可能に(読売新聞)
新型インフルエンザ等対策特別措置法   

4.コメント

今回の「K-1」の開催について自粛要請を受けたのは、このイベントが、さいたまスーパーアリーナという密閉した空間で6500人という大人数が集まるものであることから、会場で歓声が上がることによって、飛まつ感染を生じさせるおそれが大きいということにありました。そうであるとすると、今回の「K-1」と類似した状況下で行われるものについては、参加者の間で新型コロナウイルスが蔓延する危険性があるのではないかと、外部から見られる可能性があります。そして、イベントの開催により新型コロナウイルスが蔓延したという事実が報道などで明らかになると、イベント主催者側の危機管理体制が問われることが考えられるでしょう。その結果として、主催者の信用が低下し、今後の経営に悪影響を及ぼすことがありえるのではないでしょうか。そのため、危機管理の観点から考えると、いくら自粛要請に従う必要がないとしても、 今回の「K-1」 と類似した状況下で行われるイベントについては中止するのが望ましいといえるでしょう。とはいえ、全面的に中止することが困難な状況であることも考えられます。そこで、イベントの形態にもよりますが、入場を入れ替え制にし、密集する状況を避けるなどの工夫をするべきではないでしょうか。そして、出演者やプレーヤーへの賛辞は、声を出すのではなく拍手によって行うことを呼びかけるのも有効な方法であると思われます。
※参考:
クラスター、全国に15カ所 新型コロナでマップ公表―厚労省(時事通信)
クラスターリスク 閉鎖空間だけが原因ではない?(産経新聞)
感染急増、危機感強調 小池都知事、「重大局面」パネルで訴え(時事通信)

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[著者情報] hkishi

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大阪大学高等司法研究科(ロースクール)非常勤講師
2011(平成23)年04月 - 2012(平成24)年03月
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1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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2002年 東京大学工学部卒業
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2007年 早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2008年 弁護士登録
2011-2013年 新日鐵住金株式会社知的財産部知的財産法務室出向

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2011年09月 司法試験合格/11月 司法研修所 入所
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略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
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2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
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