東日本大震災の行方不明者、失踪宣告の手続なしで、死亡届の受理へ

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東日本大震災の行方不明者、失踪宣告の手続なしで、死亡届の受理へ

政府は、東日本大震災の行方不明者について、民法上の失踪宣告の手続きを経ずに、市町村が死亡届を受理できる措置をとる方針である。

民法上は、船の沈没・航空機事故等に巻き込まれて遺体を確認できなかった場合、1年間生死不明の状態が続いたことを条件に、失踪宣告が認められ、死亡したものとみなされる。そして、この失踪宣告が認められるには、手続として、家庭裁判所への申立てが必要となる。

一方、戸籍法は、死亡届の添付書類について、やむを得ず診断書などを得られないときは、死亡の事実を証明する書面があれば受理できるとしている。

そこで、東日本大震災の行方不明者については、戸籍法を特例的に活用し、失踪宣告の手続きを経ないでも、震災時の状況や経緯などを記した書面を死亡届に添付すれば、死亡届が受理され死亡が確定する方向となっている。

したがって、震災から1年を待たずに、また家庭裁判所への申立てをしないでも、家族による財産の相続や生命保険の受け取りが可能になる。行方不明者の家族の方が新しい生活を踏み出す一助となることが期待される。

【関連条文】
民法第三十条
1項  不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 項 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪の宣告の効力)
民法第三十一条  
前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

戸籍法第八十六条
1項 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
2項  届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一  死亡の年月日時分及び場所
二  その他法務省令で定める事項
3項  やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約8年9ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
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