タクシー運賃規制に対する訴訟が相次ぐ~規制緩和への一助となるか~

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事案の概要

1月27日に施行された改正タクシー特別措置法により、東京23区と大阪市 、札幌、福岡等の都市部で公定幅運賃(運輸局が運賃の上限と下限を設定し、その範囲外の運賃は認められない)が設定された。
 この運賃の下限を割り込んだ場合に、各運輸局はタクシー事業者に対して運賃変更を命じることが出来るようになった。
 これを機に格安運賃でサービスを展開していた事業者からの行政訴訟が相次いでいる。

 5月1日に関西で事業を展開するMKタクシーのグループ3社が運賃変更命令の差し止め訴訟を大阪地裁に提起した。
 大阪市では上記改正法により、設定された下限運賃は初乗り660円であったが、MK社は初乗り610円と下限を下回る運賃を申請。近畿運輸局はMK側に是正勧告をだし、これに従わない場合には運賃変更命令を出すことを示唆していた。
また初乗り運賃500円のワンコインドリーム社も大阪地裁に訴えを提起している。
 九州地区では福岡MK社と、パンダタクシーを運営するBLUE ZOO社に対して、九州運輸局が是正勧告を出し、福岡MK社が5月11日、BLUE ZOO社が5月7日にそれぞれ福岡地裁に訴えを提起している。

 タクシー業界を巡ってはタクシー特措法の下で、タクシー運転手の一回あたりの乗務距離を規制しているのは違法であるとして上記MKグループ各社が規制の取り消しを求めて訴訟を提起していた。
 このうち名古屋地裁では2013年5月31日、同域内における規制は違法であると判断した。これは乗務距離の規制自体は安全確保の観点から一般的に必要であるとしつつも、名古屋域内においては、タクシーの事故件数、速度違反件数が減少していることを考慮したうえで違法性を判断したものである。この訴訟は、大阪、福岡、札幌でもそれぞれ違法判決が出ている。

コメント

 国に対して行政訴訟を提起することは、規制緩和を求める方策の一つではある。近時も医薬品のネット販売を巡る訴訟で、最高裁がネット販売を一律に禁じた厚生労働省令を違法であると判断した事例(2013年1月11日)は記憶に新しい。
 しかし費用、時間の面から訴訟提起者の負担は重くなりがちである。政府では行政不服審査法の改正も検討されている。行政訴訟制度自体の利便性の向上が期待される。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約6年2ヶ月前に投稿された記事です。法律に関連する記事の特性上、法改正や特別法の施行、経過措置期間の経過、新たな条文解釈を示唆する判例の登場などにより、記事の内容と現在の法律運用・解釈との間に齟齬が生じている可能性もございます。何卒、ご注意ください。
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[著者情報] ryo

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2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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