JDIが中国側取締役の選任見送り、株主総会招集通知について

法務担当者が“法務”を語る新しいWEBメディアはコチラ

はじめに

 経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は先月27日、中国・香港の企業連合からの支援を受け入れる旨発表しました。しかし中国側の取締役選任については別日程に見送ります。人選が臨時株主総会招集通知に間に合わなかったとされます。今回は株主総会の招集通知について見直していきます。

事案の概要

 報道などによりますと、現在経営再建中のJDIは中国・香港の企業連合から800億円の金融支援を受ける予定とのことです。今年10月にまず500億円を受け取る予定とされ、JDIの取締役9人のうち5人が企業連合側から選任されることになります。企業連合の最高経営責任者(CEO)のウィンストン・リー氏がJDIの取締役に就任することとなっておりますがその他の人選が9月27日の臨時株主総会招集通知に間に合わない見通しとなったため別日程の臨時総会に諮るとのことです。

株主総会招集通知の通知時期

 株主総会の招集通知の通知時期は公開会社か非公開会社かで違ってきます(会社法299条1項)。公開会社では株主総会開催日より2週間前までに発信する必要があります。非公開会社では1週間前までとなります。この2週間および1週間は発信日と開催日を算入せずに、その間に14日ないし7日以上あける必要があるということです(大判昭和10年7月15日)。なお非公開会社でも書面または電子投票を採用している場合には2週間あける必要があります。また非公開会社であり、かつ取締役会非設置会社では逆に定款で1週間よりも短縮することも可能です。これは株式の譲渡承認決議を株主総会で迅速に行う必要があるからです。

通知方法

 招集通知は取締役会設置会社かまたは書面・電子投票を採用している場合には書面で通知する必要があります(299条2項)。書面に代えて電子メールで通知することも可能ですがその場合には株主の承諾を得る必要があります(299条3項)。取締役会非設置会社の場合は書面・電子投票を採用している場合を除き制限はありません。株主の承諾を得ずにメールや電話による通知が可能ということです。

通知内容

 招集通知を書面または電子メールで行う場合には①株主総会の日時と場所、②議題、③書面投票または電子投票ができる場合はその旨、④役員の選解任、報酬、定款変更などの重要案件の場合はその議案の概要などを記載することとなります(299条4項、施行規則63条7号)。なお招集通知に記載した議題以外の事項を決議した場合には株主総会決議取消の訴えの対象となるとされていることから注意が必要です(最判昭和31年11月15日)。この場合でも株主全員が出席し全員が賛成していた場合にはその決議は有効となると言われております。

コメント

 本件でJDIは9月27日に臨時株主総会を開催し、中国・香港の企業連合から800億円の支援を受け入れる旨の承認決議を受ける予定とされております。JDIは公開会社であることから開催日の2週間前までに招集通知をする必要があります。具体的には9月12日までに発信する必要があります。企業連合側の役員候補の人選が通知発送までに間に合わない見通しとなったことからこれらの役員選任については別日程の臨時総会に見送られることとなったとされます。このように招集通知は株主に株主総会の開催日や議題などの情報を提供し、意思決定を助けるものと言えます。そのためかなり厳格に手続きが規定されております。株主総会開催の際には自社の形態や取締役会の有無などに留意して準備していくことが重要と言えるでしょう。

関連業務タグ:
関連法律タグ:
 
[著者情報] mhayashi

詳細情報はありません。

日々の法務業務を効率化したい方はコチラ

このニュースに関連するセミナー

会社法
《東京会場》2020年の注目すべき法改正と法務トピック
2020年02月25日(火)
13:30 ~ 16:30
22,000円(税込)
東京都港区
講師情報
淵邊 善彦
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士

1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
2020年は改正民法、改正独禁法、働き方改革関連法など重要な法改正が施行され、個人情報保護法などの改正も予定されています。

本セミナーは、これらの法改正の概要とそれがビジネスにどのような影響を与えるかを具体的に解説します。

重要な法改正の動きを俯瞰的に把握するとともに、各法改正が実務に与えるインパクトを理解することにより、社内においてメリハリがついた対応策を検討したり、社内研修を行ったりするための参考にしていただきたいと思います。

また、今年特に話題になりそうな法務トピックを取り上げ、その最新の状況をご紹介し、自社の法務部門の今後を考えるきっかけとしてもご活用いただける内容になっています。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ