モンベル関連会社が和解、「免責条項」の有効性について

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はじめに

アウトドア用品大手「モンベル」(大阪市)の関連会社がツアー参加者に署名を求めていた免責条項が消費者契約法に違反するとして適格消費者団体が差し止めを求めていた訴訟で17日までに和解が成立していたことがわかりました。今回は消費者契約法の規定から免責条項の有効性について見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、モンベルの関連会社で登山などのツアーを企画する「ベルカディア」(大阪市)ではツアー参加の際に、生命や身体などに被害が生じた場合でも「責任追及は放棄し、全て自己責任とする」との免責条項が記載された同意書に署名を求めていたとのことです。適格消費者団体である「ひょうご消費者ネット」(神戸市)は消費者契約法に違反するとして免責条項差し止めを求め神戸地裁に提訴しておりました。団体側は参加者が泣き寝入りする恐れがあると主張しておりました。

免責条項とは

多くの利用規約や基本契約約款等では「ユーザーの損害が生じた場合でも当社はその責任を負いません」といった規定が置かれていることがあります。これを免責条項や免責規定と言います。これにより多数の消費者との間にトラブルが生じても、損害賠償が膨大な額に膨れ上がることを防止することができます。しかしこれにも一定の制約があり、完全に責任を免除することはできません。以下法律の規定を見ていきます。

民法上の責任の範囲

民法では債務不履行の際に「債務者の責めに帰すべき事由」が認められる場合に損害賠償責任が発生します(415条)。一般に帰責事由とよばれるこの要件は具体的には「故意または過失」のことを指します。つまり故意、過失または信義則上それに同視しうる債務不履行の際に賠償責任が生じることになります。そしてさらにその債務不履行から「通常生ずべき損害」、すなわち相当因果関係の範囲の損害に限定されます(416条1項)。

消費者契約法上の規制

消費者契約法8条各号によりますと、①事業者の債務不履行または不法行為による責任の全部を免除する規定、②事業者の故意または重過失による債務不履行、不法行為による責任の一部を免除する規定は無効とされます。つまり責任を完全に免除することはできませんし、故意または重過失がある場合は一部の免除すらできないということになります。言い換えると「軽過失の場合に一部免除」が許されると言えます。

コメント

本件でベルカディアはツアー参加者に「責任追及は放棄し、全て自己責任とする」との同意書に署名を求めていました。これは事業者側の責任の全部を免除する条項に当たると考えられます。今回の和解で「危機管理は自己責任であることを十分認識し、同意する。ただし法的権利を何ら放棄するものではない」との条項に改められました。これにより参加者の危機管理意識を啓発して事故予防の効果が期待できる条項となったと言えます。以上のように免責条項は事業者側の全ての責任を免除させるものではありません。しかし民法上の責任のうち軽過失の場合の責任の一部を免除する効果があります。たとえば「当社に故意または重過失なき場合、責任はユーザーが当社に支払った料金の総額に限定します」といった免責条項は有効と考えられます。消費者契約法の規定に反しない範囲で適切な免責条項を策定しておくことが重要と言えるでしょう。

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本記事は、約1年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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2008年04月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 入学(未修者枠)
2011年03月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 修了
2011年09月 司法試験合格/11月 司法研修所 入所
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2013年01月 大塚製薬株式会社 入社(2017年1月まで)~医薬品に係る国内外の契約業務、会社設立等の資本・事業提携業務等に従事
2017年02月 弁護士法人内田・鮫島法律事務所入所 この著者の記事一覧へ
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略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
2008年 フランス系ラグジュアリーブランド日本支社(出向)
2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
2010年 クリフォードチャンス香港オフィス(出向)
2011年 日系の大手財閥系総合商社のイギリス子会社の法務部(出向)
2013年 ニューヨーク州弁護士登録
2015年 IBS法律事務所開設(愛知県弁護士会に登録換え)
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