オランダ - 大企業向け新たな財務諸表提出要件
2025/06/20 海外法務, コンプライアンス

はじめに
世界的に、企業にはより高度なガバナンスが求められるようになっており、法務や管理部門担当者は、これまで以上に注意深く対応する必要があります。
Mercatorは、180以上の国・地域で顧客企業にサービスを提供してきた実績をもとに、海外の事業運営に影響を与える企業法務の最新動向をお届けします。
当社の専門的な知見を活かし、複雑な規制要件への対応やコンプライアンス体制の構築をサポートいたします。
オランダでは、2025年度の財務報告から適用される大企業向けの新たな要件が導入され、財務報告制度の近代化が進められています。
「商業登記簿への電子提出に関する政令(Besluit elektronische deponering handelsregister)」が改正され、大企業に対する財務諸表の作成および提出に関する新要件が追加されました。
この変更は、企業財務報告の透明性と効率性を高め、国際的なデジタル報告基準に対応することを目的としています。
主な変更点
1. 大企業にXBRL形式での提出を義務化
2025年度の財務諸表から(2026年1月1日以降に適用)、大企業は財務ソフトを使用してXBRL形式で、標準企業報告(SBR)を提出する必要があります。
2. 郵送および電子メールによる提出の廃止
2025年度以降、大企業に対しては郵送または電子メールによる提出が禁止されます。
3. 他の企業規模に対する既存要件の継続
• 中規模企業: XBRL形式でのSBR経提出を継続
• 極小・小規模企業: a) XBRL形式でのSBR提出、b)年次報告書オンライン提出ツール(Self-Depository tool)のいずれかを選択可能
「大企業」の定義
オランダでは、企業の規模区分はオランダ民法で定められた基準に基づいて分類されます。以下の3つの基準うち少なくとも2つを、2事業年度連続で満たした場合、企業は「大規模」と分類されます。
1. 総資産が2,000万ユーロ超
2. 純売上高が4,000万ユーロ超
3. 従業員の平均人数が250人以上
この基準値は変更される可能性があるため、最新の法令や専門家への確認が必要です
コンプライアンス違反のリスク
• 罰金
財務諸表の提出遅延に対して、最高21,750ユーロの罰金が科せられる可能性があります。
• 取締役の個人責任
企業が破産した場合、通常であれば責任が限定される法人形態であっても、取締役が個人的に会社の債務に対して責任を負う可能性があります。
本変更は、デジタル報告基準への適応の重要性を改めて示しています。企業は、現行の報告プロセスを見直し、必要な業務変更を進めることが求められます。
複数の国・地域をまたいで企業法務を適切に行うには、専門知識やリソース、常時の監視体制が求められます。
Mercatorは180以上の国・地域で対応が可能なネットワークを通じて、以下のサービスを提供しています:
• 海外子会社の企業法務の管理
• 透明性の向上と業務の改善
• リアルタイムでのコンプライアンス監視
• グローバルに対応するガバナンス・ソリューション
御社の海外子会社管理業務の最適化に、ぜひ当社の広範なネットワークと専門知識をご活用ください。
お問い合わせ先
本記事はMercator® by Citco (Mercator)が作成したものです。記事内容に関するご質問・お問い合わせは、下記までご連絡ください。
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