訴訟では、真実が勝つとは限らない
2011/06/16 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

冤罪が晴らされた瞬間
1967年に茨城県で大工の男性(当時62歳)が殺害された「布川事件」で、犯人であるとして無期懲役が確定していた桜井昌司さん(64歳)と杉山卓男さん(64歳)が、再審の水戸地裁土浦支部において無罪判決を受け、同判決は今月8日、確定した。
1996年に仮釈放されるまで収監され続け、その後も犯罪を犯した者と扱われてきた二人の、冤罪が晴らされた瞬間であるといえよう。
「事実」と「真実」
「それでもボクはやってない」という痴漢冤罪をテーマにした映画が話題になったり、1990年に栃木県で女児が殺害された足利事件で犯人とされた菅谷さんが、DNA鑑定が覆って再審で無罪となるなど、近年、冤罪が話題になることは多い。
公正な判断をすべき裁判所で、なぜ、真実と乖離した判決が出るのかと、疑問に思う人もいるだろう。
これは、裁判所が判断の前提とする「事実」が、「真実」とは別物であることから生じる問題である。真実そのものを、法廷に持ってくることはできないため、訴訟の当事者(検察官、被告人)は、様々な証拠を集め、何が真実であるのかを法廷で主張する。それをもとに、裁判官が「真実」のようだと考えて認定するのが「事実」である。つまり、いくら真犯人でなくても、足利事件の古いDNA判定のように自分に不利な証拠があれば、真犯人であるとして有罪にされる可能性がある。
総括
刑事訴訟に限らず、民事訴訟でも同じことが言える。例えば、どんなに「借りたお金は返す」と口約束をしたとしても、証拠に残っていなければ、裁判で「事実」として認められることは難しい。
このように考えてみると、将来訴訟になりそうだと考えたときは、自分に有利な証拠を集め、残していくという作業が必要である。
ただ、そのような作業は、相手との関係をぎすぎすしたものにしがちであるし、やっていて気分のいいものではないかもしれない。和を好む日本人としては、なかなか難しいことかもしれませんね。
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