バンダイナムコグループの元派遣社員、廃棄予定商品の不正販売で8,700万円の利益
2023/11/30   労務法務, 危機管理, 労働法全般, 刑事法, エンターテイメント

はじめに


バンダイナムコホールディングスの子会社で働いていた男性派遣社員が、廃棄予定だった商品を不正販売し利益を得ていたことが明らかになりました。バンダイナムコグループでは、別の子会社でも元社員による不正販売も発覚しており、今年初めに、子会社側が不正を行った元社員に対し約6億円の損害賠償請求訴訟を提起しています。

 

約8年間の不正行為


株式会社バンダイナムコホールディングスは、11月24日、子会社の株式会社バンダイナムコビジネスアークに勤務していた元派遣社員の男が、廃棄予定商品を保管していた関東地方の倉庫に会社の許可なしに侵入し、サンプルなどに使用されていた商品を不正に持ち出していたと発表しました。

事の発端は、今年6月に外部から情報提供でした。情報を受け、バンダイナムコグループは直ちに社外弁護士を委員長とする内部調査委員会を立ち上げ、調査を進めて来ました。その結果、

・一連の不正行為が2015年から2023年までの約8年間にわたり行われていたこと
・持ち出した商品を外部業者に販売するなどして男が約8700万円の利益を得ていたこと

などがわかっています。男は業務で倉庫に立ち入る機会もあったとのことで、警察が詳しい経緯を捜査中です。

男は関与を認めており、バンダイナムコビジネスアークは男の派遣契約を8月20日付で解除しました。さらに、11月24日に警察に被害届を提出し、刑事・民事両方の側面から責任を追及すると明言しています。

バンダイナムコホールディングスは、本件の管理監督責任を明確にするため、担当取締役や子会社社長ら4人に対し、報酬減額などの処分を下しました。さらに、今後は商品廃棄に関する手順の見直しと警備態勢の強化を行うとしています。

 

別のグループ会社でも不正が発覚


バンダイナムコグループでは、本件以外にも子会社の元社員による不正行為が確認されています。

株式会社バンダイナムコエンターテインメントでは、元社員が、2015年4月から2022年4月までの期間、会社が管理していたモバイル端末のうち4400台以上を無断で外部業者に売却し、約6億円を不正に着服していたことが明らかになりました。

社内の管理システムで登録された端末数と実際の使用台数に差があることが判明したことから、バンダイナムコエンターテインメントが調査を実施。その結果、元社員の不正行為が発覚したといいます。

バンダイナムコホールディングスは、2022年12月20日付で、この元社員を懲戒解雇しました。さらに、2023年1月18日には、この元社員を相手取り、約6億円の損害賠償などを求める訴訟を東京地方裁判所に提起しています。

 

社内不正をどう防ぐ?


グループ内で相次いで発覚した不正行為。社内不正が長い年月にわたって行われた場合、不正に対する罪の意識が薄れ、内容がエスカレートするおそれがあります。また、社内不正の長期化により、会社に与える経済的な損失も大きくなります。そのため、あらかじめ社内不正を防止するための措置を取ることが鍵となります。

では、こういった社内不正を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?予防策としては以下が考えられます。

・社内不正に関する規定整備
・内部統制の見直し
・社内不正に対する会社の考えを社員に周知する
・特定の社員への業務・権限の集中を回避する
・社内セキュリティ対策の強化
・不正の通告・通報窓口の設置


このような予防策を慎重に講じたうえで、万が一、不正を確認した場合には、問題を放置することなく迅速に対応することが重要になります。
具体的には、早期の事実確認・証拠の確保・丁寧なヒアリングを行ったうえで、社内規定などに照らし処分を検討して行くことになります。


 

コメント


グループ内で相次いだ社内不正の発覚に厳罰で対応したバンダイナムコホールディングス。いずれの事件でも、不正行為の期間の長さが特徴的です。

決して気持ちのよい話ではありませんが、社内不正対策を行ううえでは、性悪説に立ち、不正が物理的に行えない・行いにくい仕組みを作ること、不正の発生が予見される工程に対しては定期的な調査を行うことが必要となります。自社および子会社にて、こうした社内不正の防止体制が整備されているか、これを機に今一度、確認してみてはどうでしょうか。

 

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