「J&J」に排除措置命令、思わぬ独禁法違反を防ごう!!
2010/12/03   独禁法対応, 独占禁止法, メーカー

1 事件の概要

 米医療用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)の日本法人(東京)が、コンタクトレンズの販売価格を広告に表示しないよう全国の小売業者を制限したとして公正取引委員会は12月1日、独禁法違反(独禁法19条、不公正な取引方法12項)で同社に再発防止を求める排除措置命令(独禁法20条)を出した。

2 問題となった行為

 公取委によると、J&Jは販売店に対し「ワンデーアキュビュー」「ワンデーアキュビューモイスト」の90枚入りパックについて、それぞれ2008年12月、09年3月の発売以降、店頭以外で価格を表示しないよう求めている。
 また、J&Jは、DDプランと称する販売促進策の対象事業者として同社が選定した取引先小売業者との取引に当たり、ワンデーアキュビューモイスト30枚パックの販売に関し、遅くとも09年12月以降,当該取引先小売業者に対し、ダイレクトメールを除く広告において販売価格の表示を行わないようにさせていた。
 そして、使い捨てコンタクトの市場規模は年約1000億円で、その中で、J&Jは約55%を占める業界最大手である。そのため、多くの小売業者が意向を受け入れチラシなどに「特別価格」と表記していた。インターネットの通信販売を行う小売店には、サイトのトップページでの価格表示をやめさせるなどしており、従わない場合には出荷停止をちらつかせていた。

3 参考条文

[独占禁止法]
〔排除措置〕
第七条 (略)
② 公正取引委員会は,第三条又は前条の規定に違反する行為が既になくなつている場合に
おいても,特に必要があると認めるときは,第八章第二節に規定する手続に従い,次に掲
げる者に対し,当該行為が既になくなつている旨の周知措置その他当該行為が排除された
ことを確保するために必要な措置を命ずることができる。ただし,当該行為がなくなつた
日から五年を経過したときは,この限りでない。
一 当該行為をした事業者
二~四 (略)
〔不公正な取引方法の禁止〕
第十九条 事業者は,不公正な取引方法を用いてはならない。
〔排除措置〕
第二十条 (略)
② 第七条第二項の規定は,前条の規定に違反する行為に準用する。

[不公正な取引方法](昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)

(拘束条件付取引)(改正前、13項)
12 法第二条第九項第四号又は前項に該当する行為のほか,相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて,当該相手方と取引すること。

※今回の法律構成:「不公正な取引方法」12項に該当→独禁法19条違反→独禁法20条2項、7条2項に基づき排除措置命令

4 法の趣旨

 独禁法上の「不公正な取引方法」(「拘束条件付取引」)の規定の趣旨は、一言で言えば、公正競争阻害性にある。今回、J&J側には、小売価格の競争を制限することで販売店側の利益を確保させ、最終的に自社の利益も確保する狙いがあると考えられるが、一般には、どちらも損をしないのだからいいではないか、という感覚に陥ってしまうことがある。
 しかし、今回、J&Jは、広告に販売価格を表示させないようにさせて、安売りが広まらないようにしている。つまり、J&Jのような業界最大手の企業が、このような行為をすると、価格競争が阻害され、社会経済、そして消費者にとって大きな損失となるので、それを防止しなければならないのである。そこに、法の趣旨があるといえる。
 また、企業側の立場からみると、仮に、J&Jが、安売り販売を禁止すると、独禁法上の「不公正な取引方法」(再販売価格維持行為「11項」)として独禁法違反になるが、これはイメージがしやすく、意図せず、独禁法違反にいたってしまうケースは少ないだろう。
 しかし、12項に関しては、これなら大丈夫だろうという思いで、違反していまうケースも考えられ、注意が必要であるといえるだろう。

関連リンク

公正取引委員会(違反事件関係)
読売新聞(リンク切れ)
時事ドットコム

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