アフィリエイト広告使用に関する問題点について
2018/10/03   広告法務, 景品表示法

はじめに

 日経新聞電子版は1日、消費者庁がアフィリエイト広告を使用している場合に広告主側にも景表法上の責任を問い始めた旨報じました。今年6月に出された通販会社への措置命令でアフィリエイトサイトへの対応を命じていたとのことです。今回はアフィリエイト使用に関する問題点を見ていきます。

景表法違反事例の概要

 今年6月消費者庁は大阪の通販会社「ブレインハーツ」に対し景表法違反で措置命令並びに課徴金納付命令を出しました。消費者庁の発表によりますと、同社は短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのように表示し、また短期間で容易にシミ、しわが解消されるかのように表示し複数の健康食品を販売していたとされます。また同時のこれらの商品につき「通常価格14,900円➝限定特価2,980円」などとあたかも通常価格よりも著しく安く買えるように表示していたとのことです。そしてこれらを自社のHPとアフィリエイト広告によって表示しておりました。

景表法の規制

 景表法による規制については以前にも取り上げましたが、ここでも簡単に触れておきます。景表法では実際のものよりも著しく有料であると表示した場合を優良誤認表示とし、また価格や取引条件について実際よりも著しく有利であると誤認させる表示をした場合を有利誤認表示として禁止しております(5条1号、2号)。いずれも措置命令および課徴金の対象となっており(7条、8条)、措置命令に違反した場合には罰則として2年以下の懲役または300万円以下の罰金が規定されております(36条1項)。そして消費者庁はこれらの疑いがある場合に事業者に対して表示の合理的根拠を示す資料の提出を命じることができます(7条2項)。

アフィリエイト広告で生じうる問題点

 アフィリエイトを使用した広告では上記景表法だけでなく様々な法的問題が生じ得ます。アフィリエイターは自己のHP等によって商品が売れることによって収入を得ます。それゆえに時に行き過ぎた表示や広告を行うことも少なくありません。たとえば同業他社の製品と比較し、根拠なく他社製品よりも優れていると表示した場合は不正競争防止法が禁止する信用毀損に該当する可能性があります(2条1項15号)。またアフィリエイターが広告用に掲載している画像等が他者が作成したものを引用していた場合、著作権等の財産権を侵害している場合もあり得ます。他にも医薬部外品や化粧品等で虚偽、誇大広告を行った場合は薬機法違反となりえます(66条1項)。

コメント

 本件の事例で景表法に違反する表示を行っていたのは健康食品を販売している広告主でした。同社が使用していたアフィリエイターも同社からの指示を受けて同様の表示を行っていたもと考えらます。消費者庁は措置命令で違反事実を消費者に周知するとともに、アフィリエイト広告からも同様の周知表示に誘導するように命令しました。消費者庁がアフィリエイトについても措置を命じるのは初とのことです。近年アフィリエイトを利用した広告の市場規模は2000億円を超えると言われております。それと同時にアフィリエイト広告に関するトラブルも増加しております。広告主の意思に反してアフィリエイターが景表法違反の表示を行った場合だけでなく、上記の不正競争防止法や薬機法に違反する表示がなされた場合も広告主が責任を問われることもあり得ます。自社製品をアフィリエイト等の第三者に広告委託する場合はこれらの点にも注意して事前に対策を講じておくことが重要と言えるでしょう。

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