消費増税は法務に無関係ではない!
2015/11/09 税務法務, 租税法, 税法, その他

概要
2017年4月、消費税が10%に増税される予定である。同時に軽減税率が導入されることになっているが、これは実質複数税率製に他ならず、EUが採用しているインボイス方式に類する制度の構築が必須となっている。これは現行の請求書保存制度に比べ複雑で経理上相当の負担となるだろう。そして、消費税が増税された場合、契約書の記載についても変更することになるが、これに伴って印紙税が課税されることになる。印紙税とは、印紙税法により契約書・領収書等一定の文書に対して課税されるものである。また消費税に関しては、契約書の金額欄に区分記載するか、消費税額が明らかになるように記載した場合は印紙税の課税対象額に消費税が含まれないことになっている。消費税が増税された場合の契約書変更で課税される印紙税はいくらになるだろうか。
印紙税額
①まず消費増税で契約書を変更する場合、増税による増加額が1万円未満の場合は非課税となる。
②以下の要件を満たしている場合には印紙税額は200円となる。
・契約書で消費税額が区分記載されていること。
・契約書が印紙税法別表の1号文書(不動産等の売買契約書)2号文書(請負契約書)7号文書(継続的取引の基本契約書)に当たること。
・消費増税額のみの変更であること。
③それ以外の場合は印紙税法別表にしたがう。
上記①②の場合は印紙税額は軽微であるが、③の場合には契約書に記載する金額には注意が必要となる。例えば、5000万円の不動産の売買契約書では、増税によって代金額が5000万円を超えてしまうと、印紙税が2万円から6万円となってしまう。請負契約書においても契約代金が5000万円の場合に、増税によって記載金額が5000万円を超えると印紙税が1万5千円から4万5千円となってしまう。契約書の代金が高額の場合には、消費税額の増加によって印紙税額が大幅に増加する場合もありうる。対策として、消費税分に関しては、区分記載にして②の要件を満たすよう工夫することが必要である。
まとめ
消費税増税がなされた場合の契約書の記載変更は、節税の観点からも注意を要することになる。消費増税は経理事務のみならず、法務実務においても影響は大きくなりそうだ。
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