純国産に限定「日本酒」との表示
2015/07/06 広告法務, 民法・商法, その他

概説
国税庁は、クールジャパン戦略の一環として、国産の米・水を原料に国内で醸造された清酒に限り、「日本酒」と表示できるように決めた。クールジャパン戦略とは、日本の特色ある商品・サービスを発掘・想像し、日本の経済成長につなげることを目的として、日本政府が推進する文化産業を中核に、「我が国の価値観」を世界に発信する国家戦略のことである。
また、国税庁は、今年秋にも、酒類業組合法に基づく表示基準を改正し、地名を商品名に付した「地理的表示」の対象に日本酒を指定する予定である。「地理的表示」は特定地域で作られ、一定の条件を満たした商品の品質を政府が保証する制度である。「地理的表示」は、世界貿易機関(WTO)の協定に基づき各国が保護すべき知的財産権と定められているため、違反商品については製造や販売の取り締まりを加盟各国に要請できるようになる。
背景
国税庁が日本酒をクールジャパン戦略の一環として世界に発信しようとする背景には、世界中で日本酒ブームが加速している一方で、ニセ日本酒が出回っているということがある。日本酒のほかにも、夕張メロンや神戸牛といった高価な品が偽装表示されるというケースも多数発見されている。今回の取り組みは、日本ブランドの信用を確保しつつ、日本酒の価値を高めていくものとして行われる。
ちなみに、酒類に地理的表示を付けているものとしては、スコットランドの「スコッチウイスキー」やフランスの「ブルゴーニュワイン」「ボルドーワイン」がある。これらは、地理的表示により商品価値が向上した例として有名である。
コメント
農林水産省は6月、今回の日本酒の地理的表示に先駆けて、農水産物に「GIマーク」(Geographical Indicationの略で、地理的表示保護制度のものであることを示すマーク)を表示する制度を開始した。日本政府は、日本ブランドの価値を維持・向上させようと動き出したわけであるが、国内法による地理的表示の規制が、直ちに海外で適用されるわけではない点には注意が必要である。国家間の取り決めがない現時点においては、当該国に対して取り締まりを要請できるにとどまる。
企業の法務担当者は、例えば、販売代理店として違反する表示をしている商品を扱うことにより、当該商品の販売ができなくなるだけではなく、企業の信用を低下させるといった不利益を被る危険性もあることから、取り扱う商品の製造場所や製造方法等にも気を配るべきといえよう。
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