公正取引委員会 消費税転嫁対策の取り組み(7月まで)を発表
2014/08/13 税務法務, 租税法, 税法, その他

事案の概要
公正取引委員会は2014年8月7日、消費税転嫁拒否に対する対策の取り組み(7月まで)を発表した。転嫁拒否行為が行われているかの情報収集、転嫁拒否行為に対する調査・指導・勧告・公表を行っている。
7月までに、調査2511件、指導1287件、勧告が6件(事業者別、同じ事業者が複数の違反行為を行った場合も1件と計算)が行われた。
今後も引き続き調査・指導・勧告を行うようである。
消費税転嫁対策特別措置法
消費税転嫁対策特別措置法では特定事業者(大規模小売事業者など)が特定供給業者(大規模小売事業者へ継続的に商品または役務を提供する事業者など)に対して以下の行為を行ってはならないとされている。
①減額(同法3条1号)
既に決められた対価から消費税分を事後的に減額して支払うこと。
②買い叩き(同法3条1号)
合理的な理由なく従来の本体価格に消費税分を上乗せした額より低い対価を定めること。
③商品購入、役務利用または利益提供の要請(同法3条2号)
消費税転嫁を認める代わりに供給業者に代わりの利益の提供(自社の商品を購入させる等)を行わせること。
④本体価格での交渉拒否(同法3条3号)
本体価格(税抜き価格)で価格交渉をしたいという申し出を断ること。
⑤報復行為(同法3条4号)
①~④が行われたことを公正取引委員会に報告したことを理由に、取引数を減らす、取引の停止などの行為を行うこと
その他にも小売店が店頭で消費税を転嫁しない旨の表示、消費税分値引きする旨の表示を行うことも禁止される。これを認めると供給業者への上記禁じられた行為を誘発してしまうからであろう
コメント
中小企業庁が行ったアンケート調査では事業者向けの取引では83.4%、消費者向け取引でも74.5%の事業者が「全く転嫁できている」と回答している。逆に全く転嫁できていないと回答した事業者は事業者向けの取引では4.0%、消費者向け取引では5.2%となっている。公正取引委員会の取り組みの結果一定の成果が出ていると言える。公正取引委員会にはこの取り組みを継続し、転嫁ができていない事業者を少なくすることが求められる。
一方企業側の視点で考えると勧告・公表をされてしまうと企業の社会的信用を失うことにつながってしまう。企業の法務担当者としてはこれらのリスクを考慮し、自社で消費税転嫁対策特別措置法で禁じられた行為が行われている場合はその契約内容の見直しを提言すべきである。
関連サイト
公正取引委員会 平成26年7月までの消費税転嫁対策の取組について
中小企業庁 消費税の転嫁状況に関する
月次モニタリング調査(7月書面調査)
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