【法務NAVIまとめ】懸賞・景品に関する法規制
2016/08/17   広告法務, 景品表示法, その他

はじめに

インターネット取引の普及に伴い,ウェブサイト上で懸賞や景品を提供して顧客を誘引することも増えたが,懸賞・景品は,企業が一般消費者の目を引く重要な広告活動の一つである。ちょっとした生活用品から,金券,家電まで,わが国にはたくさんの懸賞・景品で溢れている。このような懸賞・景品については,不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という)の規制が存在する。今回は,景品表示法における景品規制についてまとめていく。

「景品類」とは

景品表示法の規制対象となる「景品類」とは,以下の全てに該当するものをいう。
1.顧客を誘引するための手段として,
2.事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
3.物品,金銭その他の経済上の利益

(PDFファイル)不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件(告示)
(PDFファイル)景品類等の指定の告示の運用基準
(PDFファイル)景品類の価額の算定基準

一般懸賞に関する規制

1.懸賞及び一般懸賞の定義
(1)「懸賞」とは
くじ等の「偶然性」,もしくは「ゲームの結果」によって景品をプレゼントするものを「懸賞」という。「懸賞」には「一般懸賞」と「共同懸賞」がある。
 *「偶然性」の例
 ・抽選によって景品をプレゼント
 ・じゃんけんで勝ったら,景品をプレゼント
 *「ゲームの結果」の例
 ・クイズに正解したら,景品をプレゼント
 ・卓球の試合に勝ったら,景品をプレゼント
(2)「一般懸賞」とは
共同懸賞(後述)以外のものは,「一般懸賞」と呼ばれる。

2.一般懸賞における景品類の限度額
(1)取引価格5000円未満の場合
・景品1件あたりの上限は,取引価格の20倍
・景品の総額の上限は,懸賞にかかわる売上げの2%以内
(2)取引価格5000円以上の場合
・景品1件あたりの上限は,10万円
・景品の総額の上限は,景品にかかわる売上げの2%以内

共同懸賞に関する規制

1.共同懸賞とは
「共同懸賞」とは,複数事業者が共同で実施する懸賞のことである。
e.g.商店街やショッピングモールでの福引

2.共同懸賞における景品類の限度額
・景品1つあたりの最高額は30万円まで
・景品の総額は,懸賞にかかわる売上予定総額の3%まで

(PDFファイル)懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(告示)
(PDFファイル)「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準

総付景品に関する規制

1.総付景品とは
一般消費者に対し,懸賞によらずに提供される景品類は,一般的に「総付景品」「ベタ付け景品」等と呼ばれており,具体的には,抽選等の偶然性がなく,商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等がこれに当たる。
e.g.来店者全員に粗品をプレセント,携帯電話新規加入でもれなく○○プレゼント

2.総付景品の限度額
(1)取引価額が1000円未満の場合
・景品類の最高額は200円
(2)取引価格が1000円以上の場合
・景品類の最高額は,取引価格の20%以内

業種別景品告示

特定の業種については,業界の実情等にかんがみ,一般的な景品規制とは異なる内容の業種別の景品規制がある。
(PDFファイル)新聞業における景品類の提供に関する事項の制限(告示)
(PDFファイル)雑誌業における景品類の提供に関する事項の制限(告示)
(PDFファイル)不動産業における一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(告示)
(PDFファイル)医療用医薬品業,医療機器業及び衛生検査所業おける景品類の提供に関する事項の制限(告示)

オープン懸賞について(参考)

企画内容を広く告知し,商品・サービスの購入や来店を条件としない懸賞を,「オープン懸賞」という。
オープン懸賞は,取引に付随するものではないため,景表法の規制を受けない。

☆参考
景表法ガイドライン
景品表示法と懸賞の関係~上限金額や違反例も説明~(ページ下部に最近の違反事例)

おわりに

店舗を持たず,インターネットだけで商品やサービスを提供する場合,消費者からの注目を得ようとするあまり,景品表示法の制限を超えた景品や懸賞を掲げてしまう場合もあるようだ。景品や懸賞は一般消費者の目を引く効果的な広告活動の一つであるため,法規制を把握して,適法かつ効果的に活用したい。

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